離島の医療は(1) 高い交通費と宿泊費

「しんぶん赤旗」首都圏版に掲載された、離島の医療に関する連載を紹介していきます。


伊豆諸島と小笠原諸島には人が住んでいる島が11あり、いずれも東京都に属しています。コロナで日本の医療体制の危うさが浮き彫りになりました。離党ではどうなっているのか。伊豆諸島の大島、利島(としま)、式根島を訪ねました。

 

大島(上)

大島医療センター(「しんぶん赤旗」2021年12月14日付より)

伊豆・小笠原諸島には町立八丈病院(八丈島)しかなく、あとは診療所のみ。
八丈病院は、厚生労働省の約430の公立・公的病院再編統合リストにあげられています。

重い病気だと…

両諸島でも最も人口が多い大島町(7200人超え)の大島医療センターは、診療所とはいえ、常勤医師7人を配置、MRI(時期共鳴画像は意思)、MRI(磁気共鳴画像装置)やCT(コンピューター断層撮影装置)・人工透析患者なども備え、重い病気やけが、特殊な場合をのぞき、島民にとってはかけがえのない役割を果たしています。
ところが重い病気にかかるとー。

ホジキンリンパ腫(血液のがんの一種)を患う74歳の女性は「都内の大学病院に通院するため、大島から船で3か月に1回通い、1回あたり平均3泊くらい必要です」と話します。連泊せざるをえないのは、診療時間と船の出向時との関係で前泊が必要だったり、天候があれることを見越し、船が欠航する前に本土にいかなければならないからです。

この女性は、付き添いが必要だと医師に言われているため、その分、交通費・宿泊費がかさみます。コロナが心配ですぐ島に帰りたいので、料金が高い高速船を利用。「東京に出るならついでに少し遊びたいと思ってもできない。船賃と宿泊代を工面するので精一杯」と肩を落とします。

日本共産党元大島町議の時得孝良さんは、地元の衣装機関でがんが判明し都内の大学病院を紹介された70代男性の事例を話しました。「知人は、一か月以上連続して通院治療することになったが入院できず、やむを得ず夫婦で都内の宿泊施設から通院することになった。夫婦の『なんとしても治すためにがんばる』との言葉に心をうたれた」
時得さんは「離島であるがゆえの厳しさ、格差軽減のために税金を使ってほしい。それが離島振興の要であり政治の役割。離島住民を忘れないでほしい」と力を込めます。

都の補助はなし

大島町は、医師の判断で島外受診が必要とされた患者に対し、助成をしており、宿泊・往復交通費込みで1通院、静岡県熱海市での受信の場合は5000円、東京は7000円。歯科治療(保険適用)にも認められています。ただし何泊しても1通院とみなされます。付き添いは助成対象外です。

助成制度は大島町以外の島しょ自治体でも実施していますが、都の補助はありません。

日本共産党都議団は2020年12月、島しょ住民の通院・宿泊費の半額を助成する制度を提案。多摩・島しょへの財政支援を求めた質問に、都は「地域の課題に即した支援が行えるよう検討」すると答弁しました。(つづく)


病院と診療所 医業を行う場所として医療法で定められた施設。病院は20床以上のベッドがあり、診療所は病床がないか19床以下のベッドがある施設。病院は構造設備等について相当程度充実したものであることを求めています。

(「しんぶん赤旗」2021年12月14日付より)

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