党創立100周年の「寅年」が幕を開けました。そして「寅」で頭に浮かぶのは、やっぱり山田洋次監督「男はつらいよ」の寅さんです。
山田監督の小説「悪童(ワルガキ)」によれば、葛飾柴又「とらや」の軒先におかれた赤ん坊に、御前様が「寅次郎」と命名したのは、86年前の二・二六事件当日。寅年ではなく、私と二周り違う「ねずみ年」でした。
学生時代には、毎年2回の新作公開のたびに映画館に足を運びましたが、随所にその時代の社会状況が織り込まれているので、毎回が新鮮でした。一緒に見た友人と、「今回はあれがよかった」「いや、あそこはちょっと納得いかない」などと語り合ったものです。
寅さんは高校生だった満男に「人間は何のために生きているのかな?」と尋ねられて、こう答えます。
「あぁ、生まれてきてよかったなって思うことが何べんかあるじゃない。そのために人間生きてんじゃねえか」
心にしみるセリフです。寅さんは、間違いなく、私の人生の師匠でした。
寅さんだったら、今の政権を見てなんと言うでしょう。「おてんとうさまは見ているぜ!」か、「それを言っちゃあ、おしめえよ」でしょうか。聞いてみたかった。
ありがとう、寅さん。寅年もがんばります。
(「しんぶん赤旗」2022年1月5日付より)