衆院予算委
日本共産党の宮本徹議員は3日の衆院予算委員会で、政府が「佐渡島(さど)の金山」(新潟県)の世界文化遺産の推薦を閣議了解したことについて、「推薦に値する」としたうえで、歴史の事実に謙虚に向きあうよう求めました。
宮本氏は、長崎県の端島(通称・軍艦島)を含む「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録(2015年)の際に出した政府のステートメント(声明)が「意思に反して連れて来られ、厳しい環境下で働かされた多くの朝鮮半島出身者がいたこと」について「理解できるような措置を講じる」としたにもかかわらず、現在の展示資料は1939年以降の徴用による労働者の証言がないと指摘。世界遺産委員会が昨年、強い遺憾を示し、約束の実行を求める決議を採択したとただしました。
野田聖子地方創生担当相は「わが国は世界遺産委員会の決議を誠実に履行している」などと開き直りました。
宮本氏は「ひとりよがりの立場は、国際社会に全く受け入れられていない」と批判。「国際社会との約束を履行しない姿勢を取り続ければ、結果として佐渡金山の世界遺産登録のコンセンサス(合意)を得る障害にもなる」と指摘しました。
その上で宮本氏は、新潟県がまとめた『新潟県史』や旧相川町が編さんした『佐渡相川の歴史』などに、朝鮮人労働者の強制労働の事実が克明に記録されていると強調。「こうした事実を認めるか」とただしました。末松信介文部科学相は「さまざまな議論がある」「定かであるかは確認していない」「もう一度調査する」などと述べ、強制労働の事実を認めませんでした。
宮本氏は、安倍晋三元首相が新たな「歴史戦チーム」を立ち上げ、日本の名誉と誇りを守り抜いてほしいと述べたことを指摘。政府のタスクフォース(作業部会)は「政権の認識に基づいてそれに合う事実だけ集めるのか」とただしました。
松野博一官房長官は「客観的事実に基づいて、国際社会で正しい歴史認識が形成されることを重視する」などと答弁。宮本氏は「負の側面も謙虚に認めることで、遺産の価値が世界遺産としての価値を持っていく」と述べ、日本による植民地支配と侵略への反省とおわびを表明した村山首相談話(1995年)の立場に立って歴史に謙虚に向き合うよう求めました。
(「しんぶん赤旗」2022年2月4日付より)