「東京外環道シールドトンネル工事の再開はしないこと」―日本共産党の山添拓参院議員、笠井亮衆院議員と同党都議団らは、国土交通省やNEXCO中日本・東日本の事業者に対して、4日、申し入れを行いました。調布市東つつじヶ丘地域で地表陥没や相次ぐ巨大地下空洞発生事故を起こした東京外環道工事は現在、全て休止していますが、事業者は住民の声を無視して工事再開に向けて動き出しています。
申し入れには共産党都議団から、とや英津子都議をはじめ、練馬、杉並両区議団、調布、三鷹両市議団など沿線自治体議員も参加。工事再開に向けた姿勢に疑問を呈しました。
東京外環道本線のシールドトンネル工事はNEXCOが事業者であり、中央ジャンクション北側ランプシールドトンネル工事は国交省が事業者として工事を進めています。調布市内での事故はNEXCO東日本が東名高速道路側から北上する中で起こしました。
現在は中止しているシールドトンネル工事を、関越自動車道大泉側(練馬区)からNEXCO中日本が南下して掘削する部分と、国交省が進める中央高速道とアクセスする中央ジャンクション北側ランプシールド工事について、再開が明らかになっています。準備が整い次第、工事再開するとしています。
事業者らは新型コロナ感染症のオミクロン株まん延中にもかかわらず、「工事再開」に向けて1月末から沿線で住民説明会を強行。「説明を果たした」という既成事実を作り上げようとしています。とや都議は申し入れで、住民の参加は多いとはいえないとし、「住民への説明は十分ではない。このような状態での工事再開は許されない」と述べました。
また、区・市議も発言し「普通に暮らしていたのに、地表に何ら影響はありませんと言って、突然トンネルを掘られて振動で眠れなくなって、家が傾いたと思ったら立ち退いてという話はおかしくはないか」などと住民の気持ちを代弁しました。
工事の前提崩れた
1月28日の上石神井小学校(練馬区)での説明会では「調布では現在も地表が新たに2㌢㍍以上落ち込んでいてNEXCOも注視しているというが、それでも問題ないとして平気で工事を再開するのか」という住民の質問に、NEXCOの説明員が「現在、地表に変化はない」と事実と異なる回答をしています。虚偽の説明や、質問にまともに答えないことに、住民の批判の声も上がっています。
しかし、事業者らは申し入れでも「(調布市の事故現場で)トンネル直上以外に地盤の緩みはない」と強弁し、工事を強行する構えです。
山添議員は、「地上に何ら影響は与えないとしてきた大深度法の前提は、振動による住民の健康被害や住居の傾きなどの異変によって崩れた」と述べ、事実と異なる説明をただしましたが、まともに答えませんでした。
参加者も「何の影響もないはずなのに、なぜ家が傾くのか」「いつの間にか騒音も環境基準を超えてはいない(ので問題ない)となった」など、事業者を口々に批判しました。
現状でも騒音が
申し入れに先立ち、山添議員と都議団、練馬区議団らは1日、大泉側の工事地域などを視察。大泉の工事現場付近では、現状でも午前中に80デシベル(地下鉄車内並)近い騒音を観測しました。
青梅街道インター付近では巨大道路により、地域コミュニティが分断される様子を確認。駅に向かう道のりも回り道になり倍になるなどの声を聞きました。また東京外環道が地下化されたにもかかわらず、地上部分の計画を縮小して東京都によって整備される外環の2の計画地域では、貴重な生態系の宝庫である石神井公園に影響を及ぼす危険などを住民から聞き取りました。