東京都は9日、2022年度の国民健康保険料について、一般会計から独自繰り入れを行わない場合、一人当たりの保険料を16万7042円とする算定結果を都国保運営協議会に示しました。21年度に比べて6・2%増、9691円の大幅値上げとなります。
広域化後、最大の金額
都は22年度の加入者総数を3・1%減の267万4000人、医療給付費総額を21年度から0・1%減(1人当たりでは3・1%増)の7865億円と見込みました。都は、これを元に加入者1人当たりの保険料を算定。自治体独自の一般会計繰り入れを行わない昨年11月時点の試算(1人当たり9・41%増)より値上げ幅は抑えましたが、国保制度の運営を都道府県に広域化した18年4月以降、最大の値上げです。
今回の値上げの試算には、国の激変緩和策(暫定措置や追加激変緩和)とともに、国の特例基金を活用した都の激変緩和策がとられていますが、都独自に財政支出しての軽減対策はとられていません。
もともと重すぎる国保負担で、払いたくとも払えない加入者が増加しているもとでの大幅値上げ試算に対し、運営協議会では加入者代表の委員から苦言が相次ぎました。
日本共産党の和泉なおみ都議は、区市町村が昨年、コロナ禍での医療費増を「国保料に転嫁することは避けるべきだ」と、都に財政支援を要請したと紹介。都が法人2税の大幅税収増を見込んでいることをあげ、「都として独自支援を行い、保険料を抑制すべきだ」と求めました。一方、自民党と都民ファーストの会の都議は独自繰り入れの解消を求めました。
国保加入者の約7割が非正規労働者や無職・年金生活者で、社会保障改悪と消費税増税に加え、コロナ禍で暮らしと営業が深刻化しています。さらに重い負担を加入者に強いることに「制度を根底から崩しかねない」との指摘も出ています。
日本共産党の東京都委員会、都議団、区市町村議員団は昨年12月、国保料(税)を引き下げるため、都独自の抜本的な財政支出、18歳までの子どもの均等割廃止など、都としてあらゆる努力をするよう小池百合子知事宛てに要請しています。
今後、各区市町村で激変緩和策がとられ、自治体としての実際の保険料(税)の額が確定します。立川市はすでに、保険税の値上げの見送りを決定しています。住民運動や議会論戦を含め、各自治体における動向が注目されます。