都立高校 ツーブロック禁止ゼロに 共産党都議団も論戦

 特定の髪型の禁止や下着の色指定などの校則や生徒指導のあり方について都立高校など各学校で見直しが行われました。10日の東京都教育委員会で報告されました。理不尽な校則や指導に対し、生徒から改善を求める声が上がり、日本共産党都議団も人権尊重の視点からの検討や生徒参加での見直しを都議会で繰り返し求めていたもので、歓迎の声があがっています。
(長沢宏幸)

校則大きく見直しへ
都教委が点検通知

 都教委は昨年4月、生徒の頭髪の色や髪型、下着の色などを定めた校則について自己点検と見直しの実施を通知。その際、通知では、教職員や生徒、保護者が話し合う機会を持つよう求めていました。都立学校196校の全日制、定時制など計240課程での取り組みの結果、「髪を一律黒く染めさせる」、ツーブロック(側頭部を刈り上げ頭頂部は伸ばして段差を設ける髪型)の禁止、「下着の色の指定」など5項目について、来年度から全ての課程で廃止。一方、地毛の色が茶色や赤味があるなど黒以外の場合や、くせ毛の生徒に「任意」で提出させていた「地毛証明書」は、指導対象にしていた55課程のうち35課程が廃止し、20課程が残ります(表参照)。
 都教委によると、見直しにあたり生徒会役員が他県の高校の校則を比較検討し、取り組みの参考にしたり、生徒の意見を取り入れて市販のベスト・カーディガンの着用を可能にしたなどの学校がありました。

池川質問で
話題沸騰

 理不尽な校則が世間に大々的に知られるきっかけの一つとなったのは、2020年3月の都議会予算特別委員会での池川友一都議(日本共産党)の質疑。
 池川都議が理不尽な生活指導の実態を示した上で、「なぜツーブロックはだめなのか」との質問に、藤田裕司教育長(当時)は、事件や事故に遭うケースがあるからなどと、合理的な説明ができませんでした。その様子を紹介した動画は、657万回も再生。テレビの情報番組や新聞などでも取り上げられ、一気に社会問題化しました。動画を見た人からは、感謝や共感の声が多数寄せられました。

子どもの権利を真ん中に
池川友一都議の話

 「声を上げれば必ず変えられる」―。中高生をはじめ多くのみなさんが「おかしい」と声を上げた結果です。理不尽なことに慣れさせるのではなく、変えることができるということを学ぶことは、とても大切です。子どもの権利を真ん中に、子どもたちの意見を聞く社会に変えていきましょう。

声上げた高校生「希望感じる」
 「声をあげてもいいんだ、声を上げれば変わる。希望を感じて胸が熱くなりました」。今春、都立北園高校(板橋区)を卒業する安達晴野さん(18)も、指導の押しつけに、おかしいと声を上げた一人。「学校現場が実際どうなるのか、今後を見守りたい」とも話します。
 安達さんは入学後すぐに生徒会役員となり、2年生の後期に会長に選ばれました。「比較的自由な校風でしたが、だんだんと指導が強まり、『高校生らしい』という名目で校則の規定がなくても、髪型や髪染めも指導の対象となりました。生徒からおかしいという声もあがり、生徒会長の立候補のスローガンは『自由な北園を取り戻す』でした」と、振り返ります。
 「本来、外見について他人が口を出すことはできないはずで、髪の色や服装を指導すること自体、おかしいと思います。ルールは当事者が同意した上でつくり、見直す場合も、その都度、話し合って決めるべきです」

 安達さんは昨年9月頃、頭髪検査が行われる当日、先生との話し合いのきっかけにしたいと考えて金髪に染めて登校。先生による検査は実施されなかったものの、うやむやにしたくないと「LIBERTY」(自由)と書いたプラカードを首から下げて一週間ほど登校しました。クラスの多くの仲間も同様のプラカードを机に掲げるなどしました。高校では今年3月から、先生と生徒の話し合いの場が設けられることになりました。
 「周りの人たちも声を上げてくれるようになったのがうれしいです。声を上げることは無駄ではなくて、意味があることだと改めて思えました。後輩たちも、そう思ってくれるといいですね」と語る安達さん。「校則の問題は人権問題であり、民主主議の問題。将来きっと、こうした体験が生きる時が来ると思う」。大学入学を前に希望あふれる笑顔を見せました。

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