男女賃金格差解消へ
田村さんは「女性が受け入れさせられてきた『当たり前』を問う質問ができる時代になった」とジェンダー平等の国会論戦を振り返ります。
コロナ危機のもとで女性の自殺急増が社会問題になっていた2021年3月の参院予算委員会。田村さんは、コロナ危機が女性にどんな困難をもたらしのか、困難の根底にある構造的な問題に迫る質問をと考えました。
質問準備に苦しむなか、国会前集会で女性バスガイドの発言に「問うべきはこれだ」と胸を打たれました。
届くのか
小泉構造改革の規制緩和で運輸・旅行業の新規参入、価格競争が激化し、この業界に雇用激変がもたらされました。「ドライバーは正社員のまま大幅賃下げ、バスガイドは丸ごとフリーランスに置き換えられた。コロナで収入を失い、自殺者も出ている。バスガイドを助けてください」
田村さんは、女性が多く働く受付や事務職も丸ごと非正規化されている、この構図が見えたと言います。
当日の予算委ー。
非正規労働の割合が1990年に男性8%、女性38%だったのが2020年に男性22%、女性56%という資料を示しながら、職を失っているバスガイドの悲痛な訴えを紹介します。
田村さん 女性は非正規が当たり前の政策が取られてきた。総理、政治の責任をどう考えるか。
菅首相(当時) 非正規の方が次の職につけるようなことを政府として力を入れたい。
田村さん それが、誇りをもって働いてきたバスガイドに届くメッセージか。
期待感じ
今年2月の参院予算委質問では、男女賃金格差の構造的な問題を追及しました。
いままで政府は、女性の低賃金の理由として、勤続年数の違いを挙げていました。田村さんは、正社員でも、勤続年数ゼロの初任給から月4万円の格差があり、長く働くほど格差が拡大している実態をグラフで示しました。
男女雇用機会均等法で男女別採用が規制されると、企業は「総合職」(将来、転勤や管理職の可能性あり)と「一般職」というコース別採用を導入、女性は「一般職」が当たり前という雇用慣行で、賃金差別を温存してきたと厳しく告発。しかし政府は、将来の転勤などを理由に格差を容認する答弁を繰り返しました。
田村さんは、スタートラインで同じ仕事をしているのに、なぜ将来を理由に、賃金格差が容認されるのかと追及。「日本も批准したILO100号条約、同一価値労働同一報酬の基準は、同じ仕事、類似の仕事は同一賃金。これはすべての男女に与えられた人権だ」と力を込めました。
田村さんのジェンダートーク(横浜市・2月)を視聴したIT企業勤務の女性(46)は「会社は女性ウェルカムで差別の感覚は無く、夫とくらべると収入差があるなと個人の問題としてとらえていた。賃金格差のグラフや非正規雇用の話を聞き、重大問題であること、ジェンダー平等を実現するために賃金格差解消が必要だと思った。これが国会論戦になったことも新たな進歩で変化への期待を感じた」と言います。
新しいリーフのスローガンは「共に生きよう 時代を変えよう」。
コロナ危機で何度も田村さん自身が語ってきた言葉です。「一人じゃない、決して見捨てない、ともに生きよう」と呼びかける政治にしたいと思い続けて活動しています。
(おわり)