東京オンライン演説会ひらく 志位委員長ら訴え

志位和夫委員長の訴えを聞く人たち=10日、東京都千代田区

 「ロシアのウクライナ侵略という大問題が起こるもとで、世界の平和秩序をどうするか、日本はどういう道を進むべきか。戦争か平和かが問われる歴史的な選挙です」―。日本共産党の志位和夫委員長は10日、東京都内で、参院選に向けた「第2次全国遊説」の皮切りとなる演説を行いました。志位氏が「東京では比例代表で100万票以上に支持を広げ、現有4議席から田村智子さんを含む5議席への躍進に全力を尽くします。選挙区では山添拓さん。東京にとっても日本にとっても絶対に失うわけにはいかない宝の議席です。大激戦を必ず勝ち抜かせてください」と訴えると、会場は大きな拍手に包まれました。

 リアルの参加者に加え、約4500カ所からYouTubeの接続があり、全体で約1万4000人が演説に耳を傾けました。演説後、15人が入党しました。

 田村智子副委員長(比例候補)、山添拓参院議員(選挙区候補)が決意を表明しました。(田村副委員長の訴え

 志位氏は、新型コロナウイルスの感染拡大は「第7波」が心配される状況だとして、「なりゆきまかせ」に終始した岸田政権の対応を批判。「『第6波』への対応の厳しい反省に立って、『第7波』への本腰を入れた備えを」と訴えました。

 東京では、地域医療構想に基づいて急性期病床を1万213床減らす計画や、それと一体に都立・公社病院の独立行政法人化が進められていると指摘。全国の2300の医療機関の中で、コロナ専用病床確保数の1位から11位までを都立・公社病院が占めていることを紹介し、「全国でもコロナ対応で一番がんばってきた都立・公社病院をコロナの最中に独法化するなど許すわけにはいきません」と力を込めました。独法化の反対署名が累計35万を超えたことも指摘し、「独法化の実施許すなの運動を広げ、参院選での共産党躍進で東京と日本の医療を守り充実させましょう」と呼びかけました。

 ロシア・プーチン政権によるウクライナ侵略から1カ月半。志位氏は、「ロシアは侵略やめよ」「国連憲章守れ」の一点で声をあげ、力を合わせることこそ侵略を止める最大の力だと訴えました。

 NHK「日曜討論」で共産党の井上哲士参院議員がロシアの侵略を厳しく批判したのに対し、ロシアの駐日大使から「遺憾だ」との手紙が送られてきたことに触れ、「井上議員は大使と会談し、党の見解をじゅんじゅんと全面的に伝えました」と経過を報告。会談でのやりとりについて、「大使は軍事行動を『NATO(北大西洋条約機構)の脅威』をあげて合理化しようとしましたが、井上議員は『脅威があるからといって武力行使をする権利はどの国にも与えられていない』と批判しました。大使は反論せず、『モスクワに報告する』と答えました」と紹介しました。「侵略国に対しても『国連憲章守れ』『軍事行動を中止せよ』と直接に堂々と求めてきた党が日本共産党です」と強調。また、「NHKテレビの発言に抗議というのは前代未聞です。こういう抗議をしてくること自体が、プーチン政権が『国際世論』をどんなに恐れているかを示すものではないでしょうか」と力を込めました。

 (1面のつづき)

 志位氏は、「ロシアはもともと共産主義では」という疑問に対して、崩壊した旧ソ連はもともと社会主義・共産主義とは無縁の覇権主義・専制主義の体制だったこと、日本共産党がその誤りと正面からたたかい、ソ連共産党崩壊の際には「もろ手をあげて歓迎する」という声明を発表したことを、当時の「赤旗」の記事を大写しにしたパネルを掲げて強調。「世界広しといえども、あの時、『歓迎』声明を発表したのは日本共産党だけです」と語りました。

 参院選で何が問われるかに話を進めた志位氏は、何よりも参院選は「戦争か平和か―日本の進路が根本から問われる選挙になる」として、「日本共産党は参院選で、危機に乗じた『戦争する国』づくりを許さず、憲法9条を生かした平和外交で東アジアに平和をつくろうということを訴え抜いてたたかいます」と表明しました。さらに、暮らしがかかった選挙だと強調し、「新自由主義を終わりにして、『冷たく弱い経済』から『やさしく強い経済』への大転換をやりましょう」と訴えました。

 志位氏は、大好評の「はてな」リーフを紹介し、党の綱領的立場を力説。その中で、「自衛隊」の問題について、9条の理想に向けて、国民多数の合意で自衛隊の現状を一歩一歩変えていく道筋を語りました。

 9条を生かした積極的・能動的外交で、東アジアに平和をつくっていくことが何よりも重要と力説したうえで、「万が一、日本に対する急迫不正の侵略が起きた場合には、自衛隊を含めてあらゆる手段を用いて国民の命と日本の主権を守ります」と強調。「9条は戦争を放棄し、戦力保持を禁止していますが、無抵抗主義ではありません。9条の下でも個別的自衛権は存在するし、必要に迫られた場合にはその権利を行使するのは当然です」と主張しました。

 また「共産主義」に関わって、日本共産党がめざす社会主義・共産主義が「自由、民主主義、人権、豊かな個性など、資本主義のもとで生み出されたあらゆる価値あるものを受け継ぎ、豊かに開花させる社会」であることを強調。「なぜ旧ソ連や中国が自由も民主主義もない社会になったか」と問いかけました。その理由として、「遅れた国からの出発」という問題をあげ、ロシア革命前の帝政ロシアにも、中国革命前の中国にもまともな議会が存在しなかったことなどを指摘しました。一方で、日本は高度に発達した資本主義国であり、国民主権、基本的人権、議会制民主主義の長い経験を持っているとして、「それを土台にして次の社会に進むのですから、旧ソ連や中国のような国には絶対なりません。それは党綱領での約束にとどまらず、歴史の必然です」と訴えました。

 最後に志位氏は「日本の平和と憲法が危うくなる状況を前にして、広い国民のなかで平和への強い願いがわき起こっています。その願いをしっかり受け止められるのは、党をつくって100年間、命がけで反戦平和を貫いた日本共産党をおいて他にありません。どうか首都・東京から日本共産党を大躍進させてください」と熱く呼びかけました。

(「しんぶん赤旗」2022年4月12日付より)

 

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