2022参院選 激戦ルポ 東京選挙区(改選数6) 山添拓候補

欠かせぬ議席「絶対確保を」

商店街で飲食店主の男性から話を聞く山添氏(正面左)ら=東京都渋谷区

 参院東京選挙区は主要政党の候補者が出そろい、有力9人が6議席を争う大激戦の様相です。東京の日本共産党と後援会は比例代表で100万票を獲得し、6年前の参院選で党唯一の選挙区の議席となった山添拓氏(37)「絶対確保」をと奮闘しています。

 「憲法が希望」が信条の山添氏。「ロシアの侵略を許さない」「国連憲章を守れ」と街頭宣伝し、党の風を吹かせています。

 法政大学教授の上西充子さんは「世界情勢の不安定化を受けて、国内では今後、憲法改正に向けた声が高まる可能性があります。その勢いに押し流されないためにも山添さんの存在は国会に欠かせません」とコメントしています。

 物価高が都民や中小業者を直撃。山添氏が渋谷区の商店街を訪問すると、銭湯を営む女性がガス代の請求書を見て「3割超上がっていた。ガス漏れかと思った」と肩を落とします。山添氏は、消費税減税、インボイス方式の導入中止など多くの分野に波及する対策の必要性を痛感します。

 弁護士でもある山添氏の国会論戦は「法廷ドラマのようだ」とSNSでも人気です。映画「浅草キッド」などに出演した俳優の古澤裕介さんも国会質問動画を見て、言葉の応酬が非常に面白くてドラマチックと評し、「自分の出演しているコマーシャルを宣伝しても『いいね』は五つくらいなんですけど、山添さんの街宣を上げると100ぐらいついたりする」と話します。

 (1面のつづき)

9条今こそ 外交ビジョン語って

「はてな」リーフで変化が

 「ロシアは侵略をやめよ」との党の宣伝に都民の関心が高く、ウクライナ支援募金も次々寄せられる一方、宣伝中に「ロシアは共産党」などとの声も出ています。

 渋谷地区では、左手に憲法署名、右手に「はてな」リーフを持ち、ウクライナ情勢版“あなたの疑問に答える活動”を進めています。

党の展望に感激

 

街頭で手を振る山添拓参院議員=17日、東京都台東区

 「自民党などが9条では平和は守れないと言っているがどう思いますか」と問いかけ、攻められたらどうするのかでなく、どうやって攻められないようにするのか、日本共産党の外交ビジョンを語って理解を広げています。大学1年生は「志位さんの演説で一番印象に残ったのは、共産党の外交ビジョンだった。これってすごい」と感激し、入党しました。

 五十嵐千代子区議は党支部メンバーと訪問活動をして「今まで政治の話をしたことがない人でも、ウクライナの問題で対話になる。話したがっている」と驚きます。

 夫婦と息子の3人家族を訪問したときのこと―。妻が支持者。夫とはあいさつ程度の関係でしたが、夫が自らの戦争体験を語り「戦争だけはダメ」と述べ、話を隣で聞いていた息子と一緒に憲法署名に応じました。

 別の女性宅を訪問したとき、「9条に自衛隊を書き込んだほうがいいと思っているから署名は勘弁して」と断られました。その場では相手の話を否定せず聞くことに徹し、「はてな」リーフやウクライナ問題の宣伝物を渡し「ここに詳しく書いてあるから」と、その場を後にしました。20分後、その女性が「やっぱり署名させて」と追いかけてくる変化も。

議席失う危険も
 2021年10月の総選挙で東京の各党の比例票は、多い順に自民200万、立民129万、維新85万、公明71万、共産67万、れいわ36万、国民30万。都民ファーストは同年7月の都議選で103万票獲得しています。総選挙後の都内の中間地方選の結果などから、これを既得の陣地とせず、「現有議席を失う危険が存在することも直視」(党都委)しています。

 戦争か平和かが問われる選挙で、戦争する国づくりを一気に進めようとする自民・公明・維新・国民の翼賛体制を許さない審判をくだす選挙にしようと都党をあげて取り組んでいます。

 平和と暮らしの問題で山添氏の魅力を押し出す新しい全世帯向けビラも準備。対話・支持拡大、宣伝やSNSも活用して共産・山添旋風を吹かせる構えです。

各党でそろい激しい動き
 自民は元五輪選手の男性現職(46)と元アイドルの女性新人(53)を擁立。立憲民主は女性現職(54)と元衆院議員の男性新人(47)、公明は女性現職(52)、維新は大阪市議の女性新人(48)が名乗りをあげています。れいわは新宿区議の新人(50)、ファーストの会は都議の女性新人(40)が立候補を予定しています。

 自民は支部長・常任総務合同会議(4月)で「2議席確保は至上命題」「都連の総力を結集する」と意思統一。比例候補全員当選と選挙区での活動を相乗的にたたかうとしています。

 公明は公明新聞(4月14日付)でロシア問題とからめて日本共産党の安全保障の立場を「“自衛隊憎し”の本音を隠し…」などとねじ曲げ攻撃。公明現職は街頭演説で、野党が求め続けた新型コロナ支援金を「公明党が与党にいるから実現できた」などと自らの手柄のように説明しています。

 維新は東京を最重点区に位置づけ、全党あげて支援の構え。オープンな会合で、非核三原則について堅持するとしながら、「核共有」については「常に議論するべきだ」と確認。

 立民は3月の都連大会で「2人の議席確保を至上命題として全力で取り組む」としています。

 ファーストの会新人の会合(4月)には小池百合子都知事が出席。自らの秘書として活躍したエピソードに触れながら、「みなさんの声を国政に届ける役目を担うよう期待している」と支援を呼びかけました。24日には国民民主党との合同街頭演説会を開催しています。

 (2面)

(「しんぶん赤旗」2022年5月1日付より)

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