刑法改定案が20日の参院本会議で審議入りし、日本共産党の山添拓議員は、同改定案の侮辱罪厳罰化は憲法上の「表現の自由」とかかわり、慎重な検討が必要だと強調しました。また、懲役・禁錮を廃止する「拘禁刑」創設は「国際的に求められる受刑者への処遇水準からかけ離れてしまう」と批判しました。(質問要旨)
山添氏は、政府が示した統一見解で侮辱罪による現行犯逮捕を「慎重な運用」「想定されない」としていることについて、「想定外もあり得るのか」と迫りました。二之湯智国家公安委員長は「慎重な運用とは、逮捕権の運用を慎重に行うことだ」「想定されないものと考えている」などと答えました。
山添氏は、北海道警やじ排除事件訴訟について二之湯氏が現場の警察官の行動は「正しかった」との答弁を繰り返していると指摘。現場の警察官の判断によるやじ排除は「時の総理の街頭演説であり、官邸の指示を含め、道警の組織的な関与も疑われる」と批判し、「侮辱罪の恣意(しい)的な運用の懸念が払しょくされない」と強調しました。
また山添氏は、すべての受刑者に刑務作業と改善指導を義務づける「拘禁刑」は、社会復帰のための処遇に能動的に参加する権利を保障すべきとする「国連被拘禁者最低基準規則(マンデラ・ルールズ)」とかけ離れていると指摘しました。
古川禎久法相は、受刑者の問題性に応じて改善更生を科すべきものだとして「実施するか否かを受刑者の意思にゆだねることは適当ではない」と述べました。
(「しんぶん赤旗」2022年5月21日付より)