衆院予算委
「いま政治がやるべきは、物価の引き下げと、物価高騰に負けないよう国民の収入を増やすことだ」―。日本共産党の宮本徹議員は27日の衆院予算委員会で、深刻な物価高騰から暮らしを守り、経済の好循環をつくる抜本的な提案を示し、国民の暮らし最優先の政治への転換を迫りました。(論戦ハイライト3面)
首相、大軍拡の財源語らず
宮本氏は、物価高騰のなかで政府の補正予算案はガソリン・燃油対策と予備費がほとんどで十分な支援策になっていないと指摘。政府がすぐにできる物価の引き下げは消費税の減税だとして、「消費税の緊急減税で生活必需品の物価全般の引き下げが必要だ」と主張しました。
岸田文雄首相は「消費税は社会保障の安定財源として維持する」などと述べ、暮らしの支援に背を向けました。
宮本氏は「国民の暮らしを守るという真剣さが感じられない」と指摘。世界各国では政治ができる最大の賃上げ政策として最低賃金の引き上げが行われていることや、財源として党が大企業への内部留保課税を提案していることを示し、「どの中小企業・小規模事業者も助かる形で最低賃金引き上げの支援を行うべきだ」と求めました。
しかし、岸田首相は「政府としても最低賃金の引き上げの努力を続けている」というだけ。宮本氏は「物価が高騰しているのだから、大きく引き上げる覚悟が必要だ」と強調しました。
生活必需品の値上がりが、とりわけ年金生活者を直撃しています。宮本氏は、物価高騰で高齢者への負担が増えるなかで、年金削減をストップしなければならない局面ではないかと追及しました。
岸田首相は「年金制度は将来世代の負担が過重にならないように持続可能な仕組みとする」と答弁。宮本氏は「いまの仕組みでは将来世代が受け取る年金は基礎年金部分が3割も減る。財源を確保して、高齢者も将来世代も安心できる頼れる年金制度に抜本改革することこそ必要だ」と主張しました。
さらに宮本氏は、岸田首相が日米首脳共同声明で「防衛費の相当な増額を確保する決意」を表明した問題に触れ、「大軍拡の規模、その財源はどこに求めるのか、参院選前にはっきりと国民に示すべきだ」と迫りました。
宮本氏は、自民党が提言でGDP(国内総生産)比2%以上の防衛予算を目指すとするなかで、財源はどこにあるのかと追及。「防衛予算をGDP比2%(11兆円)に増やそうとすれば、消費税増税か、暮らし予算の切り捨てに直結する。国民にとってこうした事態をもたらすという自覚はあるのか」とただしました。
岸田首相は「厳しい安全保障環境の中で何が必要なのかを具体的に積み上げていく」と従来の答弁に終始。宮本氏は「際限ない軍拡競争で暮らしをつぶすことには断固としてたたかっていく」と訴えました。
(「しんぶん赤旗」2022年5月28日付より)