日本共産党の山添拓議員は3日の参院予算委員会で、教育予算を抜本的に増やして大学の学費を緊急に半額にし、入学金制度を廃止するよう求めました。
山添 大学で学んだ学生は社会に出て働き手となり、社会全体の力になるとの認識はあるか
首相 社会全体として大きなプラスだ
山添氏は日本の大学の学費は、入学金を合わせた初年度で、国立大では年間81万7800円、私大平均では約117万6800円で、東京在住の場合、仮に学生がアルバイトで学費(生活費含まず)をまかなうと、国立大生は週15時間、私大生は週21時間働く必要があると紹介。保護者負担は、40代前半の平均年収では国立大は年収の6分の1、私大は4分の1が学費支出だと紹介し、認識をただしました。
岸田文雄首相は、教育未来創造会議で授業料減免や給付型奨学金を中間層へ拡大すべきだと議論したとして、「これを実施していきたい」などと答弁。山添氏が、新たな修学支援制度の利用者は「全学生の1割にも満たない」と迫ると末松信介文部科学相は、授業料全額免除の学生は、2021年度の利用者32万人のうち「対象は18万人だ」と答え、ごくわずかだと認めました。
負担軽い仏独
山添氏は、約半数の学生が何らかの奨学金を利用し、その多くが借金だと指摘。フランスの学費は年3万4千円(登録料+健康保険料)、独は7万8千円(交通パス代込み)、スウェーデンは無料(生活費は別途支給)だと紹介。日本政府は学んで利益を得るのは学生なので学費を払うのは当然だという「受益者負担論」を説明してきたとして、次のように迫りました。
山添 日本の学費の高さは国際比較でも異常だ。大学で学んだ学生は社会に出て働き手となり、社会全体の力になるとの認識はあるか。
首相 社会全体として大きなプラスだ。
さらに山添氏は、政府は2012年、高等教育を次第に無償とすると定めた国際人権A規約の留保を撤回したため、学費を下げる必要があるにもかかわらず、国立大の学費は下がらず、私大は値上げしたと強調。「原因ははっきりしている」と述べ、日本の高等教育の予算はGDP比でわずか0・4%、経済協力開発機構(OECD)38カ国平均の半分しかなく、私費負担は0・9%で、OECD平均の倍だと批判しました。
入学金廃止を
山添 他の国では公的に支えている教育が、保護者と学生の自己責任にされてきた。高等教育予算を倍増させ、学費を緊急に半額にすべきだ。
首相 財政その他の現状を考え、優先順位をつける。
山添 子育てと教育の話だと財政を理由にする。軍事費を上げる時にはそうは言わない。教育予算こそ「相当な増額」をすべきだ。
山添氏は入学金制度について、米・独・仏・英などでは存在せず不合理だと指摘し、廃止を求めると、末松文科相は「学生が入学する地位を取得する対価だ」としか述べませんでした。さらに山添氏が同制度の根拠についてただすと末松文科相は、「調べてみたい」と答えました。
山添氏は教育にお金がかかり過ぎることが少子化に拍車をかけていると指摘し、高等教育予算を抜本的に拡充するよう求めました。