日本共産党の笠井亮議員が9日の衆院本会議で行った、岸田内閣不信任決議案の賛成討論(要旨)は次の通りです。
不信任の第一の理由は、ウクライナ危機に乗じ、「力対力」の大軍拡をすすめる危険な道を突き進もうとしているからです。
岸田首相は、日米首脳会談で「敵基地攻撃能力」の保有検討に言及し、「防衛費の相当な増額」を約束しました。「敵基地攻撃能力」の保有は、これまでの政府の憲法解釈をひっくり返す無法なもので、「戦争放棄」を内外に宣言した憲法9条のもとで許されないことは火を見るより明らかです。
しかも「骨太方針」には、自民党の軍事費GDP(国内総生産)2%提言を取り込み、「5年以内に防衛力の抜本的強化」を盛り込んでいます。軍事費だけを特別扱いしたことはきわめて重大です。
政府の役割は、紛争を絶対に戦争にしないことです。憲法9条を生かして、戦争を起こさせない外交に知恵と力を尽くすことです。
さらに重大なのは沖縄の本土復帰50年のいま、県民の民意を踏みにじって辺野古に新たな巨大米軍基地の建設を強行していることです。広島・長崎の惨禍を体験した唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約に背を向ける岸田内閣を到底、信任などできません。
不信任の第二の理由は、現下の物価高騰に無為無策で、国民の暮らしをかえりみない冷たい政治をすすめているからです。
いま政治がすることは、物価を引き下げ、賃金を上げることです。国民生活を苦しめている元凶は、「アベノミクス」と弱肉強食の新自由主義にあります。岸田首相は「新しい資本主義」「新自由主義の弊害を乗り越える」などと息巻いていましたが、閣議決定した「新しい資本主義実行計画」には、反省もなく「アベノミクス」の3本の矢の「堅持」を明記したのです。
いまこそ新自由主義を終わらせ、財界・大企業の目先の利益拡大を最優先する政治を根本的に転換するときです。
岸田内閣が、気候危機打開に逆行し、石炭火力と原発に固執し続けていることも看過できません。東京電力福島第1原発事故から11年、被害者を置きざりに、あの事故がなかったかのような政策を強行することは断じて許せません。
平和の問題でも、暮らし経済などあらゆる問題でも、もはや、この内閣に国政を担う資格はありません。目前の参院選挙で、岸田内閣に厳しい審判を下し、国民が安心して希望をもって暮らせる政治への転換をはかるため全力を尽くす決意です。