核兵器禁止条約締約国会議 21日から
核なき世界へ前進を 笠井議員 要請文送付し、出発
日本共産党の笠井亮衆院議員は18日、21日から始まる核兵器禁止条約第1回締約国会議と関連行事に参加するため、羽田空港から開催地オーストリア・ウィーンに向かいました。笠井氏は出発を前に、締約国会議成功のための要請文を会議事務局に送付しました。また17日には、都内のオーストリア大使館を訪問し、エリザベート・ベルタニョーリ駐日大使と懇談しました。
要請文は、締約国会議の開催を「心から歓迎する」と表明。同条約の規範力を生かし、「今日の核兵器使用の現実的危険を絶対に許さず、『核兵器のない世界』へ前進するため、以下の要請を行う」としています。
要請内容は、締約国会議が(1)核兵器使用による非人道的な結末を警告し、使用を許さない強いメッセージを発する(2)「核抑止力」論を乗り越えるよう呼びかける(3)核兵器廃絶の世論喚起へ積極的な役割を果たす―などです。
要請文はロシアのウクライナ侵略を国連憲章と国際法の「重大な侵犯」と非難、事態の収束と人道危機解決に向け国際社会が結束するために会議が貢献することを期待すると表明。唯一の戦争被爆国である日本の政府の条約参加実現へ尽力する立場を述べています。
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日本共産党の笠井亮衆院議員が、核兵器禁止条約第1回締約国会議に送付した要請文の全文は以下の通りです。
世界で唯一の戦争被爆国の政党として、核兵器禁止条約の第1回締約国会議の開催を心から歓迎します。発効したこの条約の規範力を生かし、今日の核兵器使用の現実的危険を絶対に許さず、「核兵器のない世界」へと前進するために、以下の要請を行います。
1.締約国会議が、核兵器使用が破滅的な非人道的結末をもたらすことを、あらためて世界に警告し、その使用を許さない強いメッセージを発することを求めます。
ロシアのプーチン大統領が核兵器使用の威嚇をくりかえしていることに世界が懸念を強めています。禁止条約は、「核兵器使用の被害者(ヒバクシャ)および核実験の被害者にもたらされた容認しがたい苦難と損害に留意」してつくられ、核兵器の使用を禁じています。核兵器は「『絶滅』だけを目的とした狂気の兵器です。人間として認めることのできない絶対悪の兵器なのです」―この被爆者の訴えに今一度、真摯(しんし)に耳をかたむけるべきです。国際社会が核兵器使用の手を縛るために力を尽くさなければなりません。
2.禁止条約は、核兵器の使用のみならず、その「威嚇を行うこと」も禁じ(第1条〈d〉)、「核抑止力」論を退けています。会議が「核抑止力」論を乗り越えることを世界に訴えることを要請します。プーチン政権が自国民の犠牲すらいとわずに、核兵器使用の威嚇を行ったことは、「核抑止力」論の破綻を示しています。「核抑止」は、核兵器の使用を前提としたものであり、ヒロシマ・ナガサキのような非人道的惨禍を引き起こすことをためらわないという議論です。このような政策は、道義的にも許されません。
3.会議が、核兵器廃絶の世論を喚起する積極的な役割を果たすことを期待します。核兵器の完全廃絶こそ、「いかなる状況の下においても核兵器が二度と使用されないことを保証する唯一の方法」です。その達成は今日、人類の生存にとっていよいよ急務となっています。
4.禁止条約は、被爆者と核実験被害者への援助とそのための国際協力を明記しています。会議が、そのための具体的な措置を策定されることを求めます。
5.禁止条約は、前文で明記されているように、国連憲章にもとづいてつくられました。ロシアのウクライナ侵略は、国連憲章と国際法に対する重大な侵犯です。今日の事態を一刻も早く収束させ、人道的危機を解決するためにも、国際社会が結束する必要があります。締約国会議がこの点でも積極的な貢献をされることを期待します。
禁止条約の普遍化を促進し、その規範力を強化していかなければなりません。わが党も唯一の戦争被爆国である日本政府の参加を実現すべく、さらに力を尽くします。
私たちは2017年の禁止条約を交渉する国連会議に市民社会の一員として参加し、条約実現のために尽力しました。「核兵器のない世界」という共通の目標実現のために、ひきつづき会議参加の全ての国の政府、市民社会との共同を発展させていく意思を表明します。
(「しんぶん赤旗」2022年6月19日付より)