クローズアップ 神宮外苑再開発

計画見直し 高まる声

多くの樹木を伐採し、多数のスポーツ拠点をなくす明治神宮外苑(東京都新宿区・港区)の再開発計画が住民の反対の声で揺れ動いています。(東京都・山岸学)

神宮外苑の再開発計画は、神宮球場と秩父宮ラグビー場を移転・建て替えし、高さ185メートルと80メートルの超高層ビルを新設。
施設の建設などで、神宮外苑の象徴のイチョウ並木の一部を含む樹木の556本(18日の事業者の保全案)が伐採される予定です。軟式野球場やゴルフ練習場など多くのスポーツ拠点も失われます。

事業者案で「答申」

伐採予定のイチョウ並木の一部=東京都(しんぶん赤旗提供)

再開発は三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事の4社が行います。都が3月に告示した都市計画決定をもとい進められます。
5月に再開発計画について都の環境影響評価審議会の部会が開かれ、当初予定されていた総括は持ち越しとなりましたが、8月16日に事業者が伐採する樹木を減らす環境保全策を提出したことで、18日の総会で事業者案を認める形で答申がまとめられました。

日本共産党都議団は6月の都議会で、都が「既存の樹木を極力保存、移植する」と説明していたことを質問。イチョウ並木からラグビー場に向かう18本の兄弟木について、事業者が早い段階から「移植は困難」であり伐採すると判断していたと指摘し、「知事もしっていたはずだ」と追及し、都は否定できませんでした。

さまざまな人から

再開発見直しには様々な人たちが声を上げています。中央区在住でアメリカ人経営コンサルタントのロッシェル・カップさんは6月に計画見直しを求める累計8万1422分のネット署名を提出しました。

9月の都議会にむけて市民から「神宮球場を保存活用する」「神宮球場と秩父宮ラグビー場を改修する」ことを求める陳情がそれぞれ提出されています。

ユネスコの諮問機関の日本イコモス国内委員会は、都市計画決定を前提に、ラグビー場を現地改修するなどの対案を4月に提案。新建築家技術者集団東京支部は7月8日、神宮球場とラグビー場を現地改修し、超高層ビルを建設せず、景観と自然を保全する案を発表しました。

 

神宮外苑の現況と開発後のイメージ

自然守るには現地改修こそ

神宮球場をラグビー場の改修を求める陳情を提出した川口槇雄さん(71)は、「神宮外苑の自然を守るには球場とラグビー場の現地改修しかない。小学生の時は神宮外苑の森に秘密基地を作って遊ぶなど、子どものころから慣れ親しんでいました。2021年に区報で計画を知り、とんでもない計画だと思って審議会や都議会に働きかけたりしています。今後も多くの人がさまざまな方法で声を上げ、計画を変えさせたい」と話しています。

(「しんぶん赤旗」2022年8月23日付より)

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