東京 コロナ病床ひっ迫で 救急要請も半数超搬送されず 

7月中旬から4週間 「搬送に3時間以上」が4分の1

新型コロナ感染症第7波の感染大爆発でコロナ病床がひっ迫し自宅療養するコロナ陽性者が東京都では約22万人(7月30日)に上った中、7月中旬以降4週間にわたり、自宅療養中の患者が体調悪化し救急搬送を要請しても、その半数以上が搬送されていなかったことが分かりました。東京消防庁が日本共産党の藤田りょうこ都議会議員の求めで提出した資料によるもの。

 自宅療養中のコロナ陽性者の救急搬送件数(速報値)は6月末から急増、7月18日以降1週間は723件と700件を突破しました。一方、搬送されない「不救護(不搬送)」件数も激増し、同期間は854件で搬送件数を上回りました。8月1日以降1週間の搬送件数は780件で現時点までの7波のピーク。同時期の「不救護」は924件でした。「不救護」件数は、7月18日から8月14日まで4週連続で搬送件数を上回りました。

同庁の藤田都議への説明によれば、コロナ陽性者が救急要請した場合、救急隊は重症者を除き、患者の入院の要否について保健所に問い合わせます。「不救護」は主に、「保健所が自宅療養継続を判断したもの」です。ほかに▽本人が搬送を辞退した▽すでに亡くなっていた▽現場で医師に引き継いだ―場合があるとしています。

また搬送されたケースでも、医療機関に到着するまで3時間以上かかった件数が、7月18日以降4週間にわたり約4分の1を占めました。10時間以上かかったのは7月18日以降1週間で26件、7月25日以降1週間では35件に上りました。

医療体制の脆弱さ鮮明

都救急要請の過半数不搬送 藤田都議の話

第7波ではコロナ患者の搬送先が見つからず救急車内や自宅で死亡したり、心肺停止になったケースが明らかになっています。今回の資料で改めて、コロナ病床がひっ迫し「必要な医療が受けられない」事態が広範に広がっていたことが浮き彫りになりました。

そもそも都の入院医療体制は脆弱(ぜいじゃく)でコロナ禍に対応する余力はありませんでした。それなのに小池都政は都のコロナ医療でかけがえのない役割を果たしてきた都立・公社病院の独立行政法人化を7月から強行しました。独法化の目的は財政支出の削減で、都の責任は重大です。また政府は「経済を回す」というばかりで、オミクロン株の特性を踏まえた新しい戦略を示さず、感染制御や早期診断・早期治療の体制構築を怠りました。国の無策も許されません。

(「しんぶん赤旗」2022年9月8日付より)

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