信教の自由の「重大な脅威」
平和・民主・革新の日本をめざす全国の会(全国革新懇)は14日、シンポジウム「民主主義、立憲主義をむしばむ統一協会と政治の癒着を暴く」を開きました。市民ら約60人が参加し、同協会と政治、自民党の癒着が民主主義をむしばみ立憲主義を損なってきたとして、被害根絶、民主主義の前進のために何ができるかを議論しました。
全国霊感商法対策弁護士連絡会の阿部克臣弁護士は、統一協会による正体を隠した勧誘、マインドコントロールを使った教化などを挙げ、「過去の判例で、信教の自由に対する『重大な脅威』『許容しがたい不公正な方法』と認定されている」と指摘。「財産の収奪や加害者の再生産、家族と断絶させられる。このような目的、手段、結果に照らして、協会の伝道教化の過程は社会的相当性を逸脱したもので、被勧誘者の『信教の自由』を侵害するものだ」と強調しました。
前川喜平元文部科学事務次官は、自身が宗務課長だった1997年ごろに同協会から名称変更の申請があり、「教義など団体の実体に変化がないと名前は変えられないと伝えた」と発言。2015年の名称変更について「役所が前例を覆すことは考えづらい。政治の意思決定がなければ起きない。政治的圧力があった可能性が高い」と指摘しました。
ジャーナリストの柿田睦夫氏は、同協会の『原理講論』から“アダムとエバの時代、エバの不倫により人類は原罪を負い、サタンの血族となった”“選ばれた女性が教祖の文鮮明によって清められることで無原罪の子を生み、人類が救済される”―という特異な教義を紹介。「協会の考える家族や家庭は、男女の婚姻を前提としている。同性婚、選択的夫婦別姓などのジェンダー平等の阻止は協会にとって死活問題。彼らは追い詰められている」と述べました。
日本共産党の宮本徹衆院議員(党統一協会追及チーム事務局長)は、チームとして(1)被害者の救済、被害の根絶(2)政治家と協会の癒着の一掃(3)政治によって協会に有利なように行政がゆがめられていないのかの究明―にとりくむと表明。09年の「コンプライアンス(法令順守)宣言」後も、協会が「宗教法人として国から認められている」などと勧誘を続けている実態を示し、「日本社会で活動を続けられていることは異常であり、被害の根絶に向けて、宗教法人としての協会の解散命令を目指すべきだ。反社会的カルト集団に国がお墨付きを与えている事態は一刻も早く解消すべきだ」と主張しました。
宮本氏は野党国対ヒアリングに触れ、「『岸田政権に任せられない』という国民世論を背景に野党の共闘が再構築されつつある。市民と野党の共闘を発展させ、あらゆる問題で立憲主義と民主主義を回復していきたい」と表明しました。
(「しんぶん赤旗」2022年9月15日付より)