日本共産党都委員会と同都議団は5日、学校給食の無償化を促進するよう文部科学省に申し入れました。宮本徹、笠井亮両衆院議員、田村智子、吉良よし子、山添拓各参院議員、とや英津子、斉藤まりこ両都議、地方議員、予定候補らが参加しました。
クローズアップ地方選
住民の願い実現を
「貧困の実態、直視して」
申し入れは▽学校給食法第11条は給食費の一部を補助することを禁止する意図はなく、地方自治体の判断で全額補助することを否定するものではないことを地方自治体に通知する▽「義務教育は無償」を定めた憲法第26条に則し、学校給食費の無償化を国による財政措置で実現する―ことを求めました。
学校給食費は都内公立小学校で年平均約5・3万円、公立中学校で同6・3万円(2018年、文科省調査)で、保護者にとって副教材費など義務教育にかかる費用の中で、最も重い負担になっています。
少子化や子どもの貧困が社会問題化する中、無償化を求める運動や世論の広がりを受けて、低所得世帯や多子世帯への一部無償化を実施する自治体が増えています。一方、完全無償化については、都内では1町4村にとどまり、葛飾区が来年4月、ようやく都内区市で初めて完全無償化に踏み出します。その壁となっているのが、財源問題とともに「給食食材は保護者負担が原則」と明記する学校給食法第11条です。多くの自治体はこの条項を理由に、完全無償化に消極的な立場を示しています。
申し入れで吉良議員は「7人に1人の子どもが貧困状態にあり、物価高騰のもとで無償化の願いがかつてなく広がっている」と指摘。宮本議員は「給食の無償化は憲法上の要請であり、少子化対策からも重視すべき課題だ」と強調しました。
文科省の担当は、「保護者負担が増えないよう引き続き対応したい」とのべました。給食法については「保護者負担を補助することを妨げるものではない」と明言。一方、自治体への周知は「周知がされているという理解。改めて通知する考えはない」とし、国として無償化すべきとの求めには、「(区市町村など学校の)設置者の判断がふさわしいと考えている」と、文科省の従来の見解を繰り返しました。
自治体の無償化 給食法が障壁に
しかし参加者の発言で、給食法が自治体による完全無償化の障壁になっていることが浮き彫りになりました。斉藤都議は都議会代表質問(9月28日)で都教育長が「学校給食法では学校給食は設置者が実施し、食材費等の学校給食費は、児童・生徒の保護者が負担することとされており、無償化については、国の責任と負担によるべきもの」と、答弁したと紹介。「周知されている状況にはない。改めて周知してほしい。国として無償化に向けて踏み出してほしい」と訴えました。
鈴木ひろ子品川区議は、NHKの23区調査で、11区が完全無償化しない理由に給食法をあげていることを示し、「改めて通知を出すことが無償化前進につながる」と強調しました。
他の参加者は「給食でしか栄養がとれない子どもがいる実態を直視してほしい」(上林まさえ東大和市議)、「親が給食費を払っていないので食べませんという子どもがいる。給食無償化は安心して生きていいという大人からのメッセージになる」(わたなべ三枝日野市議)など、深刻化する子どもの貧困の実態を示し、憲法の要請にこたえて国として給食無償化に踏み出すよう訴えました。