防衛相は開き直り
「陸地上空で空中給油訓練は実施しない」という日米合意にもかかわらず、甲府市上空付近で米軍機による空中給油が頻繁に目撃されていた問題で、浜田靖一防衛相は1日の参院外交防衛委員会で日本共産党の山添拓議員に対し、今年3月23日に米軍が空中給油を行ったことを国会答弁として初めて認めました。防衛省は山梨県の長崎幸太郎知事には、空中給油の事実が確認されたと回答していました。
山添氏は、2016年に沖縄県名護市上空付近で空中給油中にMV22オスプレイが墜落した事故を受け、当時の稲田朋美防衛相が「日米間で空中給油訓練は海域の上空でしか実施せず、陸地の上空では実施しないと確認された」と答弁したことを指摘。防衛省の深沢雅貴地方協力局長は「米側からは『空中給油訓練』との説明ではなく、運用上の所要に基づく『空中給油』を行ったものだ。過去の答弁と整合性がとれないとの認識はない」と述べ、「空中給油」であり「空中給油訓練」ではないとの詭弁(きべん)をろうしました。さらに浜田氏は「問題だと考えていない」と全面的に擁護しました。
山添氏は、17年3月に安倍晋三首相(当時)が「空中給油は海上で行うこと」(参院予算委)などと答弁していることを示し、「空中給油訓練」と「空中給油」を区別していないと指摘。「空中給油訓練は危険で、空中給油は安全だという根拠があるのか」と迫ると、浜田氏は「話が別だ」などと述べるも根拠を示せませんでした。
さらに、甲府市上空での空中給油の目撃例は3月23日のほかに少なくとも7回あるにもかかわらず、防衛省は「(米軍から)個別の空中給油について有無も含めて逐一答えないと回答があった」と述べ、これ以上の事実確認は行わないとの見解を示しました。
山添氏は「危険な空中給油訓練がやりたい放題になる」と批判。「過去の首相答弁がほごにされて、日本政府はそのことに抗議せず当然だと開き直る。危険な空中給油はやめさせるべきだ」と強調しました。
(しんぶん赤旗2022年11月1日付より)