日本共産党国会議員団は14日、国立の大学や研究機関の研究員が今年度末に大量に雇い止めされようとしている問題で、対策を講じるよう政府に緊急要請しました。宮本岳志衆院議員、吉良よし子参院議員が永岡桂子文部科学相に要請書を手渡しました。
労働契約法は2013年の改正で有期労働契約が5年を超えたときの無期雇用への転換を使用者に義務づけました。14年に研究者は10年に延ばされ、23年4月で10年が経過することから、直前の23年3月末で雇用を打ち切る「無期転換逃れ」の動きが各地の大学や研究機関で起き、問題になっています。
要請書は、文科省の調査で有期雇用期間が23年4月で10年になる任期付き研究者が4489人おり、海外の科学誌も“使い捨て”と報じたと指摘。研究者の大量雇い止めを放置すれば日本の研究力低下に拍車をかけるのは明らかだとし、(1)雇い止め撤回を国立大学・研究機関に厳しく指導する(2)約4500人の雇用状況を把握し、対策を講じる(3)国として雇用を守るための予算措置を図る(4)大きく減少した無期常勤雇用のポストを増やすための施策を講ずる―ことを求めています。
永岡氏は「各法人には雇用に対する対応をしっかりしてもらえるよう促していく」とし、無期転換権発生前の雇い止めを「法の趣旨に照らして望ましいものではない」とする通知を7日付で出したと明らかにしました。
宮本氏が雇用を守るためにも国立大学運営費交付金など基盤的経費の拡充が不可欠だと主張すると、永岡氏は「交付金は研究の基盤であり、学校が存続するために必要な資金。しっかり確保していきたい」と応じました。
(しんぶん赤旗2022年11月15日付より)