五輪選手村 都有地9割引き売却 官製談合に該当 公取委に訴訟原告団が申告

東京都が東京五輪・パラリンピック大会の選手村整備の名目で、大手不動産会社に都有地を10分の1以下の価格で売却した行為は官製談合に該当するとして、住民訴訟原告団(中野幸則団長)は15日、公正取引委員会に対し官製談合防止法(入札談合等関与行為防止法)に基づき、改善措置を講じるよう申告したと公表しました。

申告書は「晴海選手村土地投げ売りを正す会」の訴訟原告団が11月15日付で送付。問題の都有地は中央区晴海の約13・4ヘクタール(東京ドーム2・9個分)で、小池百合子知事が2016年に三井不動産など「特定建築者」11社と周辺公示地価の10分の1以下の129億6000万円で売却契約を締結。

申告書は都が選手村整備で募集した「事業協力者」と15~16年に売却価格の協議を行い、都が予定価格を知らせ廉価で売却、入札の公平を侵害したと指摘。官製談合の当事者は舛添要一知事、安井順一都市整備局長(いずれも当時)と事業協力者(晴海スマートシティグループ、13社)としています。

都は官製談合を行う前に、パシフィックコンサルタンツに委託した報告書で、選手村の事業手法は市街地再開発事業が最適と結論付け、土地価格110億円を最低価格と記載し、都が事業者に提案・協議して価格を定めるとしていました。

その後、都は日本不動産研究所に依頼した報告書をもとに土地売却価格を129億6000万円と決定。これを受け都は、選手村建設業者を募集、最低価格で応募した事業協力者に加わる11社グループを選定しました。

原告は裁判で都有地の価格が1611億円余とする不動産鑑定評価書を提出。都と事業協力者に価格を検討した協議記録の提出を迫りましたが、両者は記録開示をかたくなに拒否し続けています。


解説 疑惑の徹底糾明を

東京五輪大会を巡って東京地検は、高橋治之・大会組織委元理事(元電通専務)が大会スポンサーなど5社に便宜をはかり賄賂を受けた容疑で逮捕・起訴。五輪テスト大会でも東京地検と公取委は独占禁止法違反容疑で電通などを捜索しています。

今回の官製談合防止法違反容疑企業は三井不動産レジデンシャル、三井不動産、NTT都市開発、新日鉄興和不動産、住友商事、住友不動産、大和ハウス工業、東急不動産、東京建物、野村不動産、三井物産、三菱地所、三菱地所レジデンスの13社。

都心部の一等地を不動産鑑定書すら作成せず、都財産価格審議会や都議会にも諮らずに、1平方メートルあたり約9万6700円と破格値で不動産会社に投げ売りした不法行為は許されません。

「しんぶん赤旗」は20年3月22日付で都有地値引きに関与した不動産会社9社とコンサルタント業者1社に都OB22人が天下りしていた事実を報道。官製談合疑惑の糾明が求められています。 (岡部裕三)

 

(しんぶん赤旗2022年12月16日付より)

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