日本共産党東京都議団の和泉なおみ幹事長は15日、都議会第4回定例会の閉会にあたっての談話を発表しました。
2022年第4回定例会を終えて
2022年12月15日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 和泉なおみ
1 都民のいのちと暮らし、営業を守り抜き、東京の経済を立て直す提案
物価高騰とコロナ禍から、都民の命と暮らし、営業を守り抜き、東京の経済を立て直すことが、今定例会の最大の責務でした。日本共産党都議団は、全国250以上の自治体に広がっている上下水道料金の減免や、国民健康保険料(税)の引き下げ、給食費の無償化や賃上げのための中小企業支援など、①暮らしの支援、②賃金の引き上げ、③中小企業・小規模事業者への支援、の3つの柱で具体的提案を行いました。
小池知事は、開会日の所信表明では、世界競争力や株価の時価総額ランキングで日本の順位が低いことをあげ、この現実を正面から受け止めなければならないと述べました。知事が正面から受け止めるべきは都民の暮らしと営業の現実ではないかという、わが党の代表質問に対し、知事は「都民生活、そして東京の経済をしっかり支えてまいります」と答弁しました。
都税収入は過去最高水準であり、財源はあります。来年度予算では、使い残したオリパラ基金約1700億円を含め全体で2兆円を超える基金も活用し、今こそ不要不急の事業を見直して、都民のいのちと暮らし、営業を守り抜くために都政の総力をあげることが必要です。
コロナ感染の第8波が長期化する様相を見せる中、わが党は、感染者数を増やさない取り組みを重視し、ワクチン接種と同時に、無症状の陽性者を早期に発見するPCR検査を受けるよう、知事みずから強く発信することを求めました。市長会が保健所の新設や職員増員も含めた抜本的な見直しを求めていることを「承知している」「保健師の増員等、体制の確保を図っていく」との答弁があったことは重要です。ようやく始まった都保健所のあり方検討会での検討と具体化を急ぐよう求めました。
独立行政法人都立病院機構の来年度予算編成の方針には、行政的医療という言葉がなく、人員の増員を検討する場合は、収益増が確実に見込めるかどうかの検証を求めています。感染症医療をはじめ、都立病院が担ってきた不採算であっても都民が必要とする医療の充実に反する方針です。独立行政法人の予算編成の方針を都立病院にふさわしく改め、新型コロナ第8波に対応するため医師・看護師等を緊急に増やすよう求めました。
<3つの条例提案> ①小中学校の給食費を半額にする条例、②ひとり親家庭に支給している児童育成手当を月3,000円増額し、月額16,500円にする条例改正、③都議会議員の期末手当の引き上げをやめ、据え置く条例を提出しました。自民、都民ファ、公明などの反対で成立しませんでしたが、党都議団は、これからも、議案提案権も行使して、都民の願いにこたえる取り組みを進めていきます。
2 問題だらけの英語スピーキングテスト。都立高校入試への活用は中止を
都民の反対の声が広がる英語スピーキングテストが、11月に強行され中学3年生が受験しました。議員連盟と都民団体が実施したアンケートには1週間で478件の回答が寄せられました。同じ教室で30人が一斉に回答するため、防音具のイヤーマフ越しに他の受験者が回答する声が聞こえたという事例が166件など、教室内で試験中に起きた不公平な事例が多数ありましたが、都教委は「トラブルはなかった」と繰り返すだけでした。さらに、テストの実施状況の報告を早急に求める都民の声を無視し、年内の文教委員会での報告を拒否しました。都教委の対応と、それを追認した自民、公明、都民ファの責任が厳しく問われます。都立高校入試への活用は中止すべきです。
3 気候危機打開は都民が主人公
気候危機対策は待ったなしです。2030年までに2000年比でCO2排出量を半減させる目標をやり遂げることが必要ですが、取り組みは非常に遅れています。住宅などへの太陽光パネル設置は有効な対策であり、最大限進める立場から、環境確保条例改正には賛成しました。この条例改正は、大手住宅メーカーに対し、一定割合以上の新築住宅などに太陽光パネル設置義務を課すなど、新築建築物への断熱、省エネ、再エネ設備の整備促進を柱とするものです。
都民や事業者の疑問や不安の声を受けて、都が初期費用をゼロにする制度や、希望する中小事業者も参入できるようにする支援策などを具体化したことは重要です。気候危機打開の主人公は都民であり、誰もが納得してとりくめるようにすることが大事です。疑問に丁寧に答える情報提供、開かれた議論、とりくみたくなるような充実した支援制度を都が提供することが必要です。
また、断熱改修などをふくめ、地域の中小業者の仕事と雇用を生み出し、経済活性化に道を開く取り組みとして進めること、薄型軽量パネルなど国産パネルの開発、実用化を進めることを提案しました。
4 個人情報保護と地方自治に重大な逆流をもちこむ条例新設に反対
個人情報保護条例を廃止し、個人情報保護法施行条例を新たにつくることが提案されましたが、わが党は、個人情報保護と地方自治に重大な逆流を持ち込むものだとして反対しました。
デジタル関連一括法は、国や自治体がもつ膨大な個人情報のデータを企業に開放し、利活用しやすくする目的でつくられました。それには各自治体の個人情報保護条例が障害となるため、全国一律のルールで一元化するとしています。そもそも自治体の個人情報保護制度は、国に先行して整備され内容も発展されてきたものです。
デジタル化が進むなかで、個人情報の保護がますます重要な課題になっているときに、デジタル関連一括法は逆行するものです。個人情報保護は、「法定受託事務」ではなく「自治事務」であることを、都は質疑で認めました。都が地方自治体としてつくりあげてきた個人情報保護条例を手放すべきではありません。多くの都民が個人情報の漏洩や悪用を心配するもと、都が個人情報を保護する主体性を明確にすべきです。
5 都民の声と党都議団の論戦・提案で多くの成果も
<住宅耐震化> 党都議団は1981年から2000年までに建築された住宅の耐震化を提案。都が「推進していく必要がある」「所有者への支援や都民への普及啓発のさらなる強化について検討している」と答えたことは重要です。
<痴漢対策> 都営大江戸線に1月18日から女性専用車両を導入することが公表されました。さらに、女性専用車両の意義についての広報や、痴漢撲滅キャンペーンも実施されます。
<芸術文化> コロナ禍で大きな困難に直面している芸術文化への支援を提案。知事から「アーティストなどの継続的な活動を支援する仕組みを検討するなど、その活動を支援していく」と、前向きな答弁を引き出しました。
<無料低額診療> 知事が、都議会で初めて無料低額診療事業について、「低所得者等に対する医療を確保する上で一定の役割を果たしている」と答弁。今後につながる重要な答弁となりました。
<コロナ医療> 重度障害者を受け入れた医療機関に対し、2万円の受入謝金が新たに加算されました。
6 都政の大問題をきびしく追及
<東京五輪> テスト大会の計画立案業務での談合疑惑について、都は調査チームを設置しましたが、組織委員会の元理事による汚職問題もふくめ、第三者機関による徹底調査・検証を行うことを求めました。
<神宮外苑> 国会で、自民党から日本共産党まで超党派16人が発起人となり、銀杏並木の保全だけでなく、再開発の大規模な見直しを求める議員連盟が発足しました。再開発反対の声と運動が広がっており、中止・見直しにカジを切るべきです。
<外環道> 調布の住宅街での陥没事故から2年がたちましたが、何も解決していないにも関わらず、練馬区大泉ジャンクションの住宅直下のトンネル工事が再開されたことは断じて許されません。
<オスプレイ> 不具合を隠して横田基地にオスプレイを配備されたことを都は認めましたが、何ひとつ抗議することなく米軍や国の言いなりに「安全」と繰り返すなど、とんでもありません。危険なオスプレイは撤去し、増配備計画は中止させるよう、引き続き全力をつくします。
<統一協会> 知事の統一協会に対する現時点の認識を問いましたが、知事は答弁に立ちませんでした。都の関わりについて補助金や制度融資などもふくめた調査結果の公表、被害者相談への支援を求めました。都議会では超党派での学習会も始まりました。今後も追及していきます。
19議席・都議会野党第一党の日本共産党都議団は、都民のみなさんとともに、都民のいのちと暮らしを守る都政に転換するため全力を尽くします。
以上