今年2023年は統一地方選挙の年です。岸田・自公政権による大軍拡、大増税から住民を守る地方自治体の役割が、いっそう重要になるもとで、私たちが住む街の今と未来を託す人たちを選ぶ最も身近な選挙となります。100年の歴史を持つ老舗政党の日本共産党からも、さまざまな経歴をもち、それぞれの思いを胸に地方議会に挑戦する人たちがいます。日本共産党との出会いから始まる人生ドラマを紹介した「挑戦への思い」には、たくさんの反響がありました。本番まで4カ月、紹介しきれなかった新人予定候補の思いをシーズン2で紹介します。(長沢宏幸)
2023統一地方選 シーズン2 共産党予定候補挑戦への思い
江戸川区(定数44)太田あやかさん(27)
歌には人を変える力
「歌でみんなを笑顔にしたように、笑顔になれるようなあたたかい区政にしたい」。こう話すのは、江戸川区議選(定数44)で勇退するセバタ勇区議からバトンを受け継ぐ太田あやかさん(27)です。
太田さんの夢は、歌手になることでした。歌が好きになったのは、いじめに遭っていた小学生の頃。ひとりで過ごす時間が多くなっていました。そんな時、学芸会で歌った歌をみんながほめてくれました。うれしい体験でした。中学校でもいじめがありました。合唱部に入り、みんなの前で歌うと、いじめがなりを潜めるようになったのです。
「歌うとみんな笑顔になってくれた。歌には人を変える力がある。歌手になれたらいいなと夢見るようになりました」
現実の壁を乗り越えて
夢に向かって音楽が学べる高校に進学し、声楽を学ぶ専門学校に進みました。ところが卒業の時期が近づくにつれ、就職という現実問題が立ちはだかりました。
「生活できるだけの収入が得られる音楽関係の仕事は見つかりませんでした。弟の学費も援助しなければと、音楽とは無縁な大手外食チェーンの会社に就職しました。上司はいつ休んでいるのか分からないほどの長時間労働で、自分もそうなるのかと思うと、続けることはできなくなりました」
退職後はアルバイトで弟の学費を援助。当人には卒業後も奨学金の返済が重くのしかかります。「人間らしく働きたい」「お金の心配をしないで大学に行ける社会にしたい」。そんな思いを抱きながら自分の進路を探していた時、安保法制(戦争法)の問題が社会を揺るがしました。
「日本は戦争する国になってしまう。自分が何とかしないと」と、自らの人生と重ねて本気で考えました。太田さんは、日本共産党に入ることを決意をします。そして20年9月、共産党江戸川地区委員会から請われて職員となり、21年10月の衆院選で16区の候補者として日本の進路を巡ってたたかうことになります。ところが‥。
「家族にやっとの思いで立候補を打ち明けると、父は『実績もなく若いというだけで立候補させるのか』と猛反対。でも祖母は『経験することで成長するよ』と応援してくれました。最終的には家族みんなが応援してくれました」
あたたかい区政にしたい
結果は2万6千余票を獲得するも落選。「都議選で新人の原純子さんが当選したことで、声を上げれば政治は変えられる、政権も代えられるのではないかと候補者になる決意をしました。当選はできなかったけれど、多くの人に支えられて、選挙が終わっても疲れは感じませんでした。後悔はありません」と、きっぱり。
それから1年余、再び挑戦のチャンスが巡ってきました。「セバタさんと一緒に地域を歩くと、衆院選の時の何倍もの悩みごとが寄せられます。もっと頑張らなければという気持ちが大きくなりました。奨学金返済で困っている人への補助金制度、就職の支援、学校給食費の無償化、補聴器の購入費補助の拡充、区政の場でやりたいことがいっぱいです」。声楽できたえた張りのある声が、下町に春を呼びます。