米軍横田基地(東京都)周辺など東京都多摩地域の井戸水や水道水から人体に有害な有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)が見つかっている問題で、住民でつくる「多摩地域の有機フッ素化合物(PFAS)汚染を明らかにする会」は30日、立川市で記者会見し、多摩地域住民を対象に行った血中PFAS濃度調査の中間結果を発表しました。
分析した京都大学の原田浩二准教授(環境衛生学)は、「多摩地域の、特に国分寺市の人の血中PFAS濃度は高い状況にある」と報告しました。
調査では国分寺市、小平市など7市の87人に対し採血を実施。国分寺市の65人については、PFASに属するPFOS、PFOAなど4化合物すべてで濃度が2021年の環境省調査の数値を上回りました。
日本にはPFAS血中濃度に関する基準値はなく、健康リスクの予防のためのドイツの目安に照らすと、PFOSについて目安を超えた人は全体では21人、国分寺市では65人中20人(30・7%)を占めました。
濃度が超過した場合に特別の注意を勧めている米国アカデミーのガイダンス値(20ナノグラム)をPFOSとPFOAの合計で超えていたのは、全体で36人、国分寺市では65人中33人(50・7%)でした。
会見には、採血に応じた国分寺市の住民らも出席。井戸水を飲料水として常用してきたという中村紘子さん(80)は、「衝撃的な結果だ」と強調しました。流出した汚染物質の量や流路について「調べてほしい」と述べました。金沢学人さん(45)は、安心・安全な水を次の世代にも残せるよう「国分寺のおいしい水を取り戻してほしい」と訴えました。
(しんぶん赤旗2023年1月31日付より)