多摩地域の水道水に使われる井戸水から、発がん性など人体に有害と指摘される有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)が広範に見つかっている問題で、日本共産党の吉良よし子、山添拓両参院議員、斉藤まりこ都議は2日、高濃度の汚染が検出された国分寺市東恋ヶ窪の浄水施設を視察し、住民と懇談しました。住民からは、汚染が隠されてきたことへの不信感とともに、原因究明と対策を求める声が相次ぎました。(荒金哲)
広範な自治体で検出
東京都水道局は、多摩地域で管理している278本の水道水の水源用の井戸のうち、34本を高い濃度のPFAS汚染が見つかったことを理由に止め、これらの井戸は現在も停止中です。
水道局がホームページで公開している、各浄水所でのPFASの検出状況のデータを見ると、2004年度から21年度までの間で、何らかの濃度でPFASが検出されたことがある浄水所は、21自治体40浄水所にのぼっています(12月25日付で既報)。国の水道水の暫定目標値の2倍にあたる、1リットルあたり100ナノグラムを超える汚染が見つかっているのは、府中、調布、小金井、小平、国分寺、国立の6自治体です。さらに、40~99ナノグラムの汚染が見つかっているのは立川、日野、西東京、狛江、東久留米と5自治体あります。
国分寺市での87人分の血中濃度の検査結果では、国が全国的に行った調査に比べてPFOS(PFASの一種)で約4・2倍、PFOA(同)で約3倍の濃度で検出されました。
検査の対象者のうち、浄水器を使用していると答えた人と、使用していないと答えた人を比較すると、使用しているとした人のほうが血中濃度が低い傾向も分かっています。分析を担当した原田浩二京大准教授は「水道水から住民がPFASを摂取したことを示唆するもの」と分析しています。
血液検査に当初からかかわってきた、小泉昭夫京大名誉教授は、国分寺市での結果について、「この濃度で、急性の影響が起こることは、ほぼない」としたうえで、米国科学・工学・医学アカデミーの特別委員会が「PFASとの関連性を示す十分な証拠のある健康影響」として、①抗体反応(免疫)の低下②脂質異常症(成人及び小児)③幼児及び胎児の成長の低下④腎臓がんのリスクの増加(成人)―の4つを挙げていることを指摘します。
沖縄や東京での住民による血液検査の取り組みで、PFAS汚染への注目が高まるなかで、国も基準の強化の検討を始めています。
山添氏は視察後の懇談で、「住民の運動が国を突き動かし、不十分とはいえ、規制強化を検討する動きが始まった。汚染の実態を明らかにすることと、米軍基地も含めた原因の究明、健康影響の基準作りのために、国会でも取り上げていきたい」と話しました。
23区 広がる学校給食無償化
区民の声と共産党の論戦で
貧困と格差が拡大するもとで急速な少子化が進むなか、学校給食の無償化が23区で広がっています。葛飾、北両区に続き、品川、荒川両区が小・中学校の完全無償化に踏み出し、足立区は中学校で無償化します。4月の統一地方選でも学校給食の無償化は、一大争点になるとみられます。
品川区 請願署名採択求め
品川区の森澤恭子区長は2日、2023年度から区立小・中学校の給食費を完全無償化すると発表しました。無償化を求める区民の運動と日本共産党の論戦が区政を動かしました。小学生約1万8000人、中学生約5000人が対象となり、23年度予算案に約13億4000万円を計上しました。
同区の小学1年生の給食費は年額約4万6800円、中学生は約6万2400円。多子世帯への支援として、小・中学校に3人以上の子どもが在籍する世帯には、第3子以降に全額助成していました。
日本共産党区議団はこの間、本会議や予算委員会などで、憲法に基づく無償化を求め「給食費の負担は重く、子育て支援としても実施すべきだ」と繰り返し求めてきました。住民とも力を合わせ、無償化を求める請願署名の採択を主張。自民、公明などは反対し、不採択にしていました。
荒川区 10年間で13回提案
荒川区の西川太一郎区長は6日、23年度予算案を発表し、小中学校の学校給食完全無償化の実施を明らかにしました。予算は約7億5000万円で、就学援助ですでに給食費が支給されている分を除くと実質約5億円です。区民の声が区政を動かしました。
日本共産党荒川区議団は12年以降、10年間で13回に及ぶ質問や条例提案を行い、無償化を提案し続けてきました。一方、自民、公明両党は「国都がやるべき」「区単独は財政的に困難」などとして一貫して反対。22年9月議会で公明党の議員は、葛飾区が完全無償化したことに関連して「パフォーマンスに思われるような決断で実行してしまうことはやめていただきたい」と、区に迫っていました。
「カルト集団はいらない」
府中市 施設建設でパレード
府中市晴見町の東京農工大学など多くの教育施設が集まる地域で進む「霊連世協会」府中教会の建設工事をめぐり、市民らが4日、「『統一協会』系カルト集団は府中にいらない」と、市民パレードを繰り広げました。同協会の代表は、府中労働組合総連合(府中労連)の公開質問状に、統一協会を除名されたとしながらも、創設者の文鮮明氏を今も信奉する趣旨の回答をしています。
出発に先立つ集会で、パレードを主催した市民実行委員会の牧野勝共同代表は、「霊連世協会側は、地域に『共産党系の団体様が、この建物がカルト集団だというレッテルを張って、皆様の不安を煽り、建設の反対運動をしている』というチラシを配った。しかし、代表が信奉するという文鮮明は、統一協会のさまざまな反社会的行動の中心になってきた。そういう団体を、市民として許すわけにはいかない」と訴えました。
日本共産党、立憲民主党の市議があいさつしました。
約90人が集まり、「わが街、府中に『統一協会』系カルト集団はいらない」「教会の建設を直ちに中止せよ」「住民や学生を洗脳するな」とコールしながら歩きました。
東京農工大の職員組合からの参加者はパレード後にマイクを握り、「一番心配しているのは、学生が霊感商法などの被害に巻き込まれることだ。教授会でも状況が報告されるなど、労働組合と歩調を合わせて取り組んでいる。市民のみなさんと力を合わせたい」と訴えました。
岸田首相が年頭記者会見や、通常国会の施政方針演説で語った「異次元の少子化対策」が、さまざまな話題を呼んでいます。子育て支援の重要性は言うまでもないものの、岸田政権の政策や発言には実態とのズレが目立ちます▼その典型が、産休・育休中のリスキリング(学び直し)を支援するとの国会答弁でしょう。夜中も泣くのをあやしたり、母乳やミルクをあげたり、オムツを替えたり、洗濯や掃除をしたり…。一分一秒に追われる、子育ての現実とはかけ離れた「対策」です▼施政方針演説では、保護者など当事者の「意見を徹底的にお伺いするところから始めます」という言葉もありました。首相の看板だったはずの「聞く力」はどこに行っていたのか、“聞くこと”がこれから始まるとは…▼発表が続く、東京都や都内自治体の来年度予算案には、議会論戦と住民の運動が動かした、子育て支援策が多く盛り込まれています。東京都では0歳から18歳まですべての子どもへの月5千円給付や、第二子以降の保育料無料化が実現。葛飾区を皮切りに、給食無償化の表明も相次いでいます▼子育て支援の重要な柱は、教育費など重すぎる負担の軽減です。4月の統一地方選を、当事者の運動と声でさらなる支援充実へと動かす機会に。