原発回帰方針の閣議決定 福島事故の教訓踏みにじる

衆院予算委 笠井氏、首相に撤回迫る

質問する笠井亮議員=15日、衆院予算委(しんぶん赤旗提供)

 日本共産党の笠井亮議員は15日の衆院予算委員会で、政府が10日閣議決定した「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」に対し、東京電力福島第1原発事故への反省なき「『原発回帰』への大転換だ」として、岸田文雄首相に閣議決定の撤回を強く求めました。

 笠井氏は岸田政権の原発政策の変化を示すパネル(図)を使い、昨夏の参院選までの「依存度低減」から「最大限活用」へ、運転期間「原則40年、最大60年」から「60年超」へ、新増設は「想定していない」から「次世代に建て替え」へと、「『原発回帰』への大転換だ」と追及。被災地では「国は事故を忘れたのか」「故郷に戻りたくても戻れない」との怒りの声が湧き上がっているとして、「大事故への反省はあるのか」とただしました。首相は「事故における反省と教訓は決して忘れてはならない」と述べるにとどまりました。

 笠井氏は、13日の原子力規制委員会で原発の運転期間延長の新制度案が異例の多数決で決まったのは「重大だ」と指摘。同委の会合で石渡明委員が「科学的・技術的な新しい知見に基づくものではない」と新制度に反対したにもかかわらず、山中伸介規制委員長が議論を打ち切ったのは、首相自身が基本方針に基づく法案提出期限を2月末としたためだとして、「科学的・技術的な新しい知見」よりも政治決断のスケジュールを優先したのは「事故の教訓を踏みにじるものだ」と批判しました。

 世界には運転開始から60年を超えた原発が存在しないと認めた西村康稔経済産業相に対し笠井氏は、規制委員会での「60年超」の原発に対する規制基準の議論は白紙のままだと指摘。「60年超の運転を認めながら、規制の基準はない。これこそ新しい『安全神話』だ」と強調しました。


 日本共産党の笠井亮議員は15日の衆院予算委員会で、岸田政権が閣議決定した原発新設や60年超の原発運転を可能にする基本方針について「事故12年。なお苦しむ福島県民や、国民多数の原発ゼロの願いを踏みにじる」と批判し、撤回を求めました。

 笠井氏は、日本経済団体連合会(経団連)が昨年5月の提言で60年を超える運転期間検討を求めたと指摘。「同基本方針は、経団連の十倉雅和会長や中部電力会長など原発推進派多数のGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議などで、財界や原発業界の要求に即して決めたものではないか」とただしました。

 岸田文雄首相は「1年にわたるさまざまな専門家の議論の積み重ねの結果、この結論に至った」と答えるのみでした。笠井氏は、パブリックコメントでは大多数が原発に反対しているとし「大多数の反対意見を一顧だにせず閣議決定とは、結論ありきだ」と批判しました。

 笠井氏は、岸田首相が原発の最大限活用の理由として「日本は山と海に囲まれ再エネ適地が少ない」ことを繰り返し挙げているのに対し、「日本は『再エネの適地が少ない』どころか、再エネ資源大国だ。ところが潜在量をほとんど生かしていない」と批判。環境省が昨年公表した試算では、日本の再エネ導入潜在量は年間発電量実績の7倍超で、実際に事業が成り立つという事業性を考慮しても最大2倍であることを挙げ、「原発の持つ数々の問題点は何一つ解決していない。原発ゼロを決断し、日本の豊かな再エネ潜在量を生かしてこそ政治だ」と述べ、再エネへの大転換を訴え閣議決定の撤回を求めました。

(しんぶん赤旗2023年2月16日付より)

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