23年度予算案 衆院通過 宮本徹氏反対「異次元の大軍拡」

 2023年度予算案が28日、衆院本会議で自民、公明両党の賛成多数で可決しました。日本共産党、立憲民主党などは反対しました。

 日本共産党の宮本徹議員は反対討論で「憲法違反の敵基地攻撃能力の保有、異次元の大軍拡を進める戦後最悪の予算だ」と強調。審議で岸田文雄首相は同能力保有を「憲法の趣旨ではない」としてきた政府答弁との整合性を全く説明できなかったとして、9条に反する「立憲主義のじゅうりん」だと批判しました。

 攻撃と防御を一体に行う統合防空ミサイル防衛(IAMD)体制を地球規模で同盟国と築く米国の方針のもと、トマホークをはじめ大量の長射程ミサイル購入・開発の推進は「自ら進んで米国の戦争に巻き込まれる道」「国民を惨禍に巻き込む亡国の道」だと指摘。5年で43兆円もの大軍拡の財源確保のための復興特別税の転用などに反対しました。

 宮本氏は、中小企業や非正規労働者などへの賃上げ支援、消費税5%への緊急減税、インボイス(適格請求書)導入中止を要求。再エネ・省エネの抜本的推進を求め、原発運転期間延長・新増設への大転換に反対し、国民の暮らし最優先の予算への組み替えを主張しました。

 日本共産党は同日の衆院予算委員会で、同予算案の組み替え動議を提出しましたが、否決されました。

 本会議では所得税法、地方税法、地方交付税法等の改定案がそれぞれ与党などの賛成多数で可決。日本共産党は反対しました。


日本共産党の宮本徹議員が28日、衆院本会議で行った2023年度予算案に対する反対討論の要旨は次の通りです。

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 本予算案は、国民の暮らしをそっちのけにし、専守防衛を投げ捨て、憲法違反の敵基地攻撃能力の保有、異次元の大軍拡を進める戦後最悪の予算案であり、断じて認められません。

 政府はこれまで敵基地攻撃について、他に手段がない場合「法理的に可能」だが、国連の援助や日米安保条約があるもとで「平生から他国を攻撃する、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持つことは憲法の趣旨ではない」と答弁してきました。岸田(文雄)首相は、審議の中で答弁との整合性について全く説明できませんでした。本予算案は、立憲主義をじゅうりんするものに他なりません。

 岸田政権は安保3文書に、敵基地攻撃能力について、日本への武力攻撃がなくとも、集団的自衛権として行使しうると明記しました。本予算案ではトマホークなど大量の長射程ミサイルを購入・開発しようとしています。アメリカの戦争に巻き込まれ、地域の緊張を高め、際限のない軍拡競争になりかねません。敵基地攻撃能力保有は撤回すべきです。

 5年で43兆円もの大軍拡の財源確保のために、国民の暮らしを犠牲にすることは断じて許されません。復興特別税の軍拡財源への転用は、復興に協力している国民を愚弄(ぐろう)するものです。国立病院機構や地域医療機能推進機構の積立金は、法律で医療や年金の財源とされています。年金財源がないからと年金を目減りさせながら、年金財源を横取りして大軍拡に流用しては、国民の理解を得られません。

 物価高で苦しみの中にいる事業者、高い授業料で進学を断念し、奨学金の返済で苦しむ市民がいます。少ない年金のため、年末年始も働く高齢者もいます。大軍拡に充てる巨額の財源を国民生活の支援に回せばどれだけの国民が助かるか、想像すべきです。

 岸田政権は子育て予算倍増を掲げましたが、何一つ中身は示されませんでした。10年前の約束だった保育士の配置基準の改善を直ちに行い、国際公約の大学までの教育無償化を早急に進めるべきです。

 国民が求めるのは中小企業や非正規労働者などへの賃上げ支援、介護、障害者福祉、子育て支援などの拡充で誰もが安心して暮らせる社会にすることです。大軍拡予算は撤回し、国民の暮らし最優先の予算に組み替えることを強く求めます。


(しんぶん赤旗2023年3月1日付より)

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