とや英津子都議 子育て支援「豊かな成長の保障を正面に」

 東京都議会は2月21日、本会議を開き、小池百合子知事の施政方針に対する各派代表質問が行われました。日本共産党は、とや英津子都議(練馬区選出)が立ち、都政の重要課題で小池知事をただしました。新年度予算案には、所得制限なしで0~18歳の全ての子どもへの1人月額5000円給付(018サポート)や、第二子の0~2歳までの保育料無償化、都立大学授業料の実質無料化への準備経費などが盛り込まれました。

都議会定例会 代表質問
 とや都議は「子ども・子育て支援を拡充したことは重要」と評価する一方、その目的について知事は「国力」の「先細り」につながる少子化を防ぎ、経済成長を維持するためとしたことに対し、「子どもは国力や経済成長の道具ではない」と批判。「子どもの権利条約、豊かな成長・発達の保障を正面に据えることこそ必要」とのべ、知事の基本認識を問いました。
 小池知事は「都こども基本条例に規定されているとおり、子どもを権利の主体として尊重し、社会全体で子どもを育む環境を整備していくことが重要」と答えました。
 とや都議は知事が018サポートの実施理由について、家庭環境にかかわらず「等しく支援を受けるべきだ」としていることに触れ、それならば18歳までの医療費助成や私立中学生の授業料無償化をはじめ、全ての子ども施策の所得制限を撤廃すべきだと迫りました。
 また学校給食の無償化が都内で大きな流れになっているとして、都として踏み出すべきだと強調。子どもの豊かな成長・発達を保障する条件整備として、保育園の保育士配置基準を都として引き上げることや、園庭のない保育園の解消に向けた取り組みを提起。
 さらに重要性が高まっている児童相談所(児相)の拡充を要望。多摩地域全体(人口約430万人)で児相は4カ所しかなく、共産党都議団はかねてから8カ所への倍増を提案。都は新年度に3カ所増設するとしています。とや都議は管轄人口を1カ所当たり50万人程度にすべきだと提起しました。

コロナ5類移行 責任後退許されぬ
 政府は5月8日から新型コロナの感染法上の位置付けについて、季節性インフルエンザと同等の5類に引き下げようとしています。都はこれを受け、無料のPCR検査を廃止するなど、コロナ対策を大幅に見直します。
 とや都議は政治の責任の後退は許されないとの立場から質問。都内のコロナ患者の死亡者が1月は866人に上り、救急搬送も困難になったことをあげ、「新型コロナはインフルよりはるかに感染力が高く、流行のたびに医療体制がひっ迫している」と指摘。都の2023年度補正予算案で5類移行後、無料PCR検査を廃止するとしたことに対し、「重症化リスクが高い人に会う時や、身近な人が感染した時など、感染を広げないためにも引き続き検査は重要だ」とのべ、無料・低額検査の継続を求めました。
 また、コロナ医療費の自己負担が生じれば「経済的理由で受診をためらい重症化したり、治療をあきらめることが懸念される」と指摘。5類移行でコロナ病床確保の補助がなくなれば、同病床が減少するとして知事の対応をただしました。
 小池知事は「5類に移行してもウイルス自体が変化するものではなく、都民の不安や医療現場の混乱を招かないよう段階的に移行を進めることが重要」と答えました。

防災対策 公助こそ最重要
 小池知事は施政方針で防災対策について「『自助・共助・公助』。これらが三位一体で機能することで、東京の強靱化は初めてその真価を発揮」すると述べました。
 とや都議は「自助」「共助」も大事だが、「行政が最も力を注ぐべきは『公助』」であり、地震を防ぐことはできないが、行政努力で地震被害を軽減できると強調。木造住宅耐震化助成の対象を2000年以降に建築された新耐震住宅に広げたものの、対象20万戸に対して予算枠は137戸だと指摘。補正予算の編成を含め、全対象住宅の早期耐震化を目指すべきだと提起しました。
 福田至都市整備局長は早期耐震化について、「令和17年(2035年)度末までに概ね解消することを目指す」と答弁しました。
 都内各所で「防災」に名を借りた道路建設で街壊しが進められ、住民の反対運動が起きています。練馬区桜台東部地区では、「消防活動困難区域」だと練馬区が決めつけ、道路拡幅を強行しています。
 とや都議は同地域の困難度は低い地域であり、多額の予算と長い年月をかけて道路をつくるより、生活道路の老朽化したブロック塀などへの耐震改修助成を行うことが効果的だとの住民の声を紹介。木密地域での防災対策は「地域の状況を掴み、実情に可能な限り対応することが重要だ」として、都の姿勢をただしました。
 清水洋文消防総監は同地域の困難度が5段階で1番目(桜台1丁目)と2番目(同2・3丁目)に低いと答弁。福田都市整備局長は「必要な道路整備と併せ、ブロック塀等の安全対策を講じていく」とのべ、道路建設に固執する姿勢は変えませんでした。
 とや都議は他に▽高齢者施策▽住宅施策▽中小企業支援と賃上げ▽中学英語スピーキングテストの都立高校入試への活用中止▽ジェンダー平等▽気候危機▽東京五輪疑惑▽神宮外苑の再開発事業▽外環道建設▽横田基地―の問題について質問しました。

関東大震災100年 事知朝鮮人虐殺 歴史認識明言せず
 とや都議は、今年9月で発生から100年となる関東大震災(1923年)で起きた、朝鮮人虐殺の歴史認識をただしましたが、小池百合子知事は、虐殺の有無についての認識は示しませんでした。
 関東大震災では「朝鮮人が暴動を起こした」などのデマが流され、軍や警察、自警団によって数千人と言われる朝鮮人が虐殺されました。毎年9月に行われる朝鮮人犠牲者追悼式典に歴代知事は追悼文を送っていましたが、小池知事は就任翌年の2017年以降、送付していません。
 とや都議は都が72年に刊行した『東京百年史』(東京百年史編集委員会、全6巻)が、朝鮮人虐殺問題は史実であり、震災とは別の人災と認定した上で、「東京の歴史のぬぐうことのできない汚点である」と記録したと指摘。「『東京百年史』のこの内容を認めるか。それとも書き改めるべきだと考えるか」と迫りました。
 小池知事は「何が明白な事実かは歴史家がひもとくものだ」と答弁。さらに、とや都議が追悼文を送っていないことに関連して「関東大震災100年を機に再開すべき」と迫ったのに対し、「甚大な災害と、それに続く様々な事情で亡くなられた全ての方々に対し、哀悼の意を表している」との、従来の答弁を繰り返しました。
 とや都議は再質問で「ナチスによるユダヤ人虐殺(ホロコースト)はなかった」とする主張に触れ、「ホロコーストは明白な事実かどうか分からないと考えるのか」とただしましたが、答弁に立ちませんでした。

 自民党は2月26日、定期党大会を開きました。党総裁演説で岸田首相は、「時代は憲法の早期改正を求めている」として、改憲の運動を加速させることを訴えました▼印象的だったのが、安倍晋三元首相の「成果」を持ち上げた岸田氏の言葉です。安倍政権、菅政権の時代を「民主党政権によって失われた日本の誇り、自信、活力を取り戻すために、この国を前進させた、『前進の10年』」と語りました▼安倍政権のアベノミクスは、異次元の金融緩和で株高を演出するなど、大企業や富裕層には巨額の利益をもたらしたものの、その間に日本経済は、非正規雇用の増加や格差の拡大で、他国から見ても特異な「給料の上がらない国」「経済成長できない国」になってしまいました。安保法制をはじめ、アメリカの世界戦略に付き従って「戦争する国」への道を突き進んできたのも安倍政権です▼自民党大会の運動方針は、その流れをさらに押し進め、「反撃能力」の保有を明記。相手国へのミサイル攻撃など、敵基地攻撃能力を整備するとしています▼現在の状況を「明治維新や先の大戦に匹敵する歴史の転換点」と位置付けた岸田首相。大軍拡と戦争への準備の先に、「新しい戦前」という「歴史の転換点」を迎えるわけにはいきません。











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