23区 広がる学校給食無償化壁と妨害はねのけ 共産党論戦が推進力に

クローズアップ地方選
 異常な物価高騰のもとで切実な要望となっている学校給食の無償化が、東京23区で広がりはじめています。新年度から葛飾、北、品川、荒川、台東、中央、世田谷の7区が小・中学校の完全無償化に踏み出しました。足立区は中学校で無償化し、杉並区や江東区などは無償化に向けて検討を始めています。背を向ける陣営もある中、4月の統一地方選での一大争点になるとみられます。

 広がりを見せる学校給食の無償化ですが、70年以上の長いたたかいの歴史の上に、今があります。この課題を最初に提起したのは、東京などを地盤にした日本共産党の岩間正男参院議員でした。1951年の国会で憲法26条「義務教育はこれを無償とする」を示し、憲法通りに無償化するよう訴えました。政府は無償化の範囲を「現在は(無料は)授業料だが、教科書、学用品、学校給食費、交通費などを考えております」と前向きな答弁をしていました。

壁崩した吉良質問
 日本共産党は、都や区市町村でも一貫して学校給食の無償化を求めてきました。大きな壁となっていたのが、学校給食法に食材費などは保護者負担と書かれていたことでした。この法律を盾に当局は拒みました。
 この壁を崩したのが2018年の吉良よし子参院議員の質問でした。給食食材費について、自治体が全額補助することを「否定されない」という答弁を文部科学省から引き出したのです。
 その後、区市町村の当局の答弁が変わりはじめ、無償化の必要性は理解するとしつつ、「財政負担」の問題を拒む主な理由としました。

葛飾区で突破口
 そこで日本共産党の区市町村議員団は、財源問題をセットで提案。23区で突破口を開いた葛飾区では、2008年に給食無償化の区民アンケートを実施し、全国初の無償化自治体の山口県和木市を視察。それらをもとに議会で提案し、論戦を繰り返す中で13年に第3子からの無償化を実現。少しずつ広げて、ついに4月からの完全無償化を実現させ、その後の無償化の波へとつながりました。

荒川区10年間で13回
 学校給食の無償化の実現までには、妨害とのたたかいもありました。例えば荒川区。共産党荒川区議団は12年以降、10年間で13回の質問や条例提案を行って無償化の提案をしつづけてきました。
 当初、区側は「学校給食法により保護者が負担。無償化は難しい」と答弁していましたが、粘り強く求める中で区は、18年2月区議会から「国や都として実施すべき」と無償化を認める答弁に変わりました。
 与党の対応も冷たいものでした。12年2月区議会では共産党提出の無償化条例に対し、「食材費は一定自己負担が当然」(自民)、「国、都がやるべき」(公明)と反対し、否決。15年、16年の条例案にも反対しました。
 さらに昨年9月、葛飾区の完全無償化を受けて公明党は、「決して区の単独でパフォーマンスに思われるような決断で実行してしまうのはやめていただきたい」(決算特別委員会)と、区に迫ったのです。
 ところが今年2月に無償化方針が明らかになると、公明党は「私たちがやりました」と言い出し、自民党は「小中学校の学校給食の無償化を実現します」と書いたポスターを街中に張り出しました。
 品川区でも無償化を求める区民の運動と日本共産党の論戦が区政を動かしました。共産党区議団は、本会議や予算委員会などで、憲法に基づく無償化を求め「給食費の負担は重く、子育て支援としても実施すべきだ」と繰り返し求めてきました。住民とも力を合わせ、無償化を求める請願署名の採択を主張しましたが、自民、公明などは反対し、不採択にしていました。
 足立区では「足立っ子給食費無償化ネットワーク」がこの間、署名運動を展開。4月から中学校の無償化が実現しました。共産党区議団は、16年に「第3子無料、第2子半額」の予算修正案、17年に無償化条例案とそのための予算修正案を提案。いずれも自民、公明両党などが反対して否決。20年には第3子の無償化条例を提案しましたが自民、公明、立民各党の反対で否決されました。
 しかし粘り強い取り組みが実を結び、21年度から区による第2子半額補助、第3子以降の全額補助が実現していました。

統一地方選の争点
 練馬区は第2子以降の給食無償化を新年度の補正予算に盛り込むと発表。無償化を検討する区も広がっています。一方、2月の文京区議会では、共産党や立憲提出の無償化条例案に自民、公明などが反対し、否決されました。
 都議会でも日本共産党が昨年12月議会に提出した学校給食の半額補助条例に、自民、公明などが反対しました。23区に比べ財政力の弱い多摩地域では、狛江市で第3子以降の無償化を実施するものの、完全無償化に踏み出す自治体はありません。
 日本共産党は区市町村に無償化を求めると同時に、自治体間の格差をなくすためにも国として無償化するよう昨年10月、文部科学省に申し入れました。
 学校給食の無償化を国と都、区市町村に一貫して求め、住民とともに実現に頑張る日本共産党が統一地方選で伸びることが、学校給食無償化の推進力を強めることになるといえます。













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