外苑再開発
三井不動産などが進める神宮外苑の再開発(約28万平方㍍)で、東京都の施行認可の手続きは違法だとして、周辺住民ら約60人が2月28日、都に認可の取り消しと1人当たり1万円の慰謝料を求め、東京地裁に提訴しました。判決確定までの認可の執行停止も申し立てました。
再開発事業は都が2月17日に施行認可しました。神宮球場と秩父宮ラグビー場は立地場所を入れ替えて新築し、高さ約80~190㍍のビル3棟などを建てます。36年頃の完成を見込みます。事業者は三井不動産のほか、伊藤忠商事、明治神宮、日本スポーツ振興センター。
訴状などによると、事業者側が提出した環境影響評価書(アセスメント)には、虚偽が含まれ、伐採の対象樹木に低木約3000本を含めておらず、都審議会の審査は不十分だとしています。また再開発工事によって騒音やビル風が発生し、外苑内の多数の樹木が伐採されることなどで景観利益が損なわれ、原告には訴えの利益があると主張しています。
会見で原告団長のロッシェル・カップさん(58)=米国人経営コンサルタント=は、訴訟に至った思いについて「多くの市民、専門家が問題を指摘してきたのに、都は急いで進めようとしている。これが民主主議のやり方なのか、訴訟するしかないと思うようになった」と強調。「公共資産である神宮外苑をどうするべきか、いったん止めて市民と専門家みんなで考えるべきだ」と訴えました。
住民の渥美昌純さん(49)=渋谷区=は、幼少からの神宮外苑とのかかわりを述べた上で、「風致地区なのに事業者の要請を受けて再開発を認める。行政がやることなのか」と憤りました。