「収入」扱いの子育て支援金差し引かれたが
「うれしいです。引かれた保護費が返ってくる」。東京都青梅市に住む平野さん(仮名=30代)は安堵(あんど)します。
青梅市は、国の地方創生臨時交付金を使い、子ども一人につき1万円の子育て給付金を支給。国の方針では、生活保護を利用する家庭については、この給付金が「収入」とされ、一部が保護費から差し引かれていました。減らされた分が3月、特例で返されることになったのです。
大きく減らされ
平野さん一家は「お正月においしいものが食べたいね」と、1月の保護賈の振り込みを心待ちにしていました。5日、振り込まれた保護賈は通常の月より大きく減っていました。支給予定の子育て給付金が「収入」にあたるとの理由でした。
給付金が振り込まれたのは3週間後の27日。その間、保護費減額と水光熱費や物価の値上がりに苦しみました。
高校生の子どもに5千円の小づかいを渡す平野さん。家計が苦しくなった月末、「使わなかったから」と子どもが4千円を渡してきました。「親として心苦しい。でもそのお金がないと下の子に食べさせられない」
平野さんは、市や日本共産党の井上たかし市議に相談。減らされた保護賢が3月に返ることを知らされました。「これで電気代が払える」。やっと一息つけます。
国の特例次第?
コロナ禍や物価高に対応するための、国の地方創生臨時交付金。自治体はこれを使い、独自の生活支援給付をします。給付額が8千円以下なら、生活保護上の「収入」としないのが厚生労働省の方針です。超えた場合も、自治体が事業内容を報告すれば、同省が特例で収入としないことがあります。この判断に少なくとも1ヵ月はかかると、同省の担当者はいいます。
井上市議は「物価高対策の給付金を収入認定するのは異常」と話します。「青梅市の給付金は特例で収入にはなりませんでしたが、一度は家庭を困窮に追い込みました。そもそも保護費は低すぎるし、物価高に合わせた引き上げもない。給付金は保護世帯に全額支給されて当然です」
(林直子)
(しんぶん赤旗2023年3月10日付より)