「政府は30年にわたって少子化対策を(政策の柱に)位置付けてきたが、少子化に歯止めはかからない」―。日本共産党の田村智子議員は13日の参院予算委員会で、少子化の背景には非正規雇用の増大があるとして、安定した働き方と収入を保障する法制度をつくるよう求めました。
家庭諦める事態
直近の「出生動向基本調査」では、18~34歳の男女8割以上が将来結婚するつもりだと回答。ところが、連合の調査によれば、女性が初めて就いた仕事が正規雇用か非正規雇用かで、配偶者や子どもの有無に大きな格差が生じています。(グラフ)
田村氏は「非正規雇用という不安定な働き方と低賃金が、家庭を持ちたいと望んでいてもかなわない、諦める、こういう事態を招いている」と指摘。岸田文雄首相は「希望する非正規雇用の方の正規化に向けた取り組みの強化を図っている」と答弁しました。
田村氏は、日経連(現在の経団連)が1995年に「新時代の日本的経営」を提言し、非正規雇用を増やす方針を示したことで、正社員のリストラ、非正規雇用への置き換えが進んだと指摘。「安定した働き方と収入を保障する新たなルールが求められている」と主張しました。
「無期転換逃れ」
その上で、田村氏は本人が契約更新を望んでいるのに、「雇い止め」する事例が増えているとして「無期転換逃れ」の問題を追及しました。
10年前につくられた労働契約法の無期転換ルールは、1年契約の労働者が契約更新で5年、研究者であれば10年を超えると、本人の申し出により無期雇用への転換が可能となりますが、無期転換の前に雇い止めされる事例が多発しています。
田村氏は、全ての国立大学法人がコンサルティング契約をしている民間企業が開発した人事労務のオンライン講義で、問題とされずに雇い止めするためのポイントが徹底され、ある大学では「雇い止め研修」として実施されていると指摘。さらに、厚生労働省が無期転換逃れの雇い止めに対し、理由さえ説明すれば、契約更新に上限を設けて、機械的に雇い止めしていいというような提案まで行っていると批判しました。
永岡桂子文部科学相は「(雇い止め研修は)承知はしていない」と答弁。加藤勝信厚労相は「紛争防止を目的として、理由の説明義務を課すものだ」と言い逃れました。
田村氏は「裁判にも訴えさせないようなやり方で雇い止めできるという指南になってしまう」と厳しく批判しました。
(「しんぶん赤旗」2023年3月14日付より)