東京・蒲田の税務署前で聞く
新型コロナウイルスの感染拡大に続く物価高騰と光熱費の負担増により、地域経済を支える中小業者の苦境が続いています。東京都大田区の蒲田税務署前で14日、確定申告などの手続きに訪れた人々の声を聞きました。(小林圭子、丹田智之)
確定申告書の提出を終えた防水工事業の男性(75)は「赤字経営だから、逆に税金で助けてほしいって(職員に)言ってきたよ」と切迫した様子です。
最近の経営状況について「材料費が3割ほど高くなった。工事の価格を上げると仕事がもらえないから、作業の手間を省く努力をしてきた。貯蓄も切りつめている」と窮状を訴えました。
「赤字決算だ」と吐き捨てるようにつぶやいた男性(77)は、区内で理容室を営んでいます。客が全く来ない日もあり、平均すると1日に2人ほどだといいます。電気代とガス代が上がり、さらに経営を圧迫しています。庶民への支援が必要だとして「消費税を下げなきゃいけないよ」と語りました。
サプリメント(栄養補助食品)を扱う合同会社で仲介業を仕事にする女性(64)は「売り上げに応じて報酬が変わるので、月々の収入は不安定。住民税に続いて国民健康保険料と介護保険料の請求書が届き、負担の大きさに驚いた。貯金を崩して支払うしかないのか…」とため息をつきました。
ベビーカーを押した女性(26)は、出産費用の医療費控除の申請に来ました。国からの補助額を差し引いても30万円以上の自己負担があったといいます。物価高でミルク代が毎月1万円にもなり「負担が大きい」と話します。東京都が来年度から実施予定の2歳までの第2子の保育料無償化は「すごく助かる」といい、子育て支援の拡充を求めました。
(「しんぶん赤旗」2023年3月15日付より)