アメリカ 大幅な規制強化案
米環境保護庁(EPA)は14日、発がん性など人体への有害性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)をめぐる、飲料水の新たな規制値案を公表しました。従来の勧告値を大幅に厳しくするものです。アメリカの規制値案を、2021年度に環境省が行ったPFASの測定調査に当てはめると、都内で基準を超えた地点は、3倍近くまで大幅に増加します。
都内の調査に適用なら
アメリカの新たな規制値案は、PFASのうち代表的な物質であるPFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)について、それぞれ1リットルあたり4ナノグラムに設定します。
これまでのアメリカの勧告値は、両物質の合計で1リットルあたり70ナノグラムで、規制値案は10分の1レベルまで厳しくなります。意見募集などを経て年内にも最終決定する予定です。
PFASは、はっ水加工や、航空機の泡消火剤など幅広い用途で使われてきました。
EPAは健康に影響が出ない濃度の基準として、PFOSは1リットルあたり0・02ナノグラム、PFOAは0・004ナノグラムを示していました。4ナノグラムという案は、現在の測定能力や汚染対策などから、技術的な可能性を考慮したものです。
PFAS汚染は、日本でも広範に見つかり、多摩地域では住民による自主的な血液検査の取り組みが始まっています。米軍横田基地や、化学工場が汚染源の可能性があると指摘されています。
日本は暫定目標値としてPFOSとPFOAの合計で50ナノグラム/リットルを定めています。
環境省が21年度に行った河川や地下水1133地点の調査では、全国13都府県の81地点でこの暫定目標値を超えていました。都内では河川16カ所、井戸81カ所の合計97カ所を調べ、河川で超えたのは0カ所、井戸で24カ所でした(表)。
環境省2021 年度調査での
都内のPFOS とPFOA の測定状況
この時のデータで、アメリカの規制値案超えていたのは河川で13カ所、井戸で57カ所と70カ所。暫定目標値より3倍近くまで増加します。井戸水で規制値案を超えた地点は、17区20市1町に広がっています。
規制値案の2倍を超える8ナノグラム以上のところも河川7カ所、井戸47カ所ありました。さらに10倍を超える40ナノグラム以上も、井戸で24カ所にのぼります。
40ナノグラム超の汚染が見つかっていたのは、文京区、大田区、渋谷区、練馬区、立川市、武蔵野市、青梅市、府中市、調布市、小金井市、日野市、国分寺市、国立市、狛江市、西東京市。都内全域に広がっているものの、多摩地域に、より集中しています。