農家・学校が協力広げ39年 東京・日野市
地元で取れた農産物を学校給食に! 給食の“地産地消“が都市でも広がっています。39年前から地産地消給食をつづけている東京都日野市では――。(芦川章子)
東京・新宿から電車で約30分。家々の間に点々と畑が広がります。
「子どもたちに農と食の大切さを伝えたいと始めて39年、今では子どもたちは農の応援団です」
JA東京みなみ組合長の小林和男さん(66)は自らの農園でかみしめるように語ります。小林さん自身、毎朝、学校に野菜を届けています。
参加農家は44軒
参加農家は現在44軒。野菜、果物、大豆、米、卵…。地場産物の利用率は年々増え、給食の3割に。市内25校の全小中学校が利用しています。全校が自校調理です。
「日本一おいしい給食です」と小林さん。全国学校給食甲子園で優秀賞をとったこともあります。
誕生のきっかけは、ある栄養士でした。「野菜の食べ残しがふえた」。同じ頃、農家からも苦情が。「子どもが畑を荒らす」。市が間に入り、農家と学校の交流が始まりました。
栄養士から「子どもに見せたいから」と、つる付きのサツマイモ、葉付きのニンジンの納品を頼まれるように。やがて畑の見学、農業体験へと発展していきました。
授業で大根を育て、沢庵(たくあん)を作る学校もあります。米作りをする学校では籾(もみ)の選別から始まり、田植え、稲刈り、餅つき、最後は藁(わら)でしめ縄作りです。
「1年を通じ、農業の大変さ、食料を大切にする気持ち、自然環境や天候を学ぶ場になっています」
栄養士、調理員のとりくみも目を見張ります。旬の食材を使った豊富なメニューは学校ごとに考案。だしは煮干しや昆布から取ります。カレールーも手作りです。
給食は子どもたちにも大人気です。
「魔法がかかっていると思うくらいおいしい」(中学1年)、「毎日2~3回はおかわりする」(小学4年)、「野菜はシャキシャキ、揚げ物はサクサク、スープは熱々。全部、めっちゃ、おいしい」(小学2年)。給食が学校へ足を運ぶ大きな理由になっています。
清水都議が質問
日本共産党の清水とし子都議は、昨年9月の都議会本会議で、学校給食への地場野菜の活用促進支援を求めました。「促進には農家と学校をつなぐコーディネーターの配置、配送への財政支援が欠かせません」と話します。
日本の食料自給率は38%と低迷しています。小林さんはいいます。「食育といわれて久しいですが“農”が無ければ始まらない。食農教育にこだわり続けていくことが私たち都市農業の使命です。未来のため、種まきを続けたい」
共産党地方選政策でも
給食への地場産物の利用率は増えています。全国平均(2019年度)は金額ベースで52.7%、食材数ベースで26.0%です。地方では高いものの、東京都7.2%(金額)、大阪府7.3%(同)と低くなっています。
日本共産党は、統一地方選挙政策アピールのなかで、農業支援策の一つとして、学校給食に地場の農産物供給をすすめることを提案しています。
(「しんぶん赤旗」4月3日付より)