東京都の西端、檜原村(ひのはらむら、人口約2000人)で産業廃棄物処理施設を計画していた事業者の比留間運送(武蔵村山市)が、都に提出していた設置許可申請を取り下げたことが14日までに分かりました。
「水源地に産廃施設はいらない」と村民の7割以上が建設反対署名に応じるなど、住民の反対運動が実ったものです。
この計画は、村南部の人里(へんぼり)地区の林道や登山道がある山あいに、高さ45メートルもの煙突を持ち廃棄物処理能力1日96トンの施設を造るもの。2021年秋に計画が明らかになり、住民の批判が急速に高まりました。
昨年7月の都の専門家会議では委員から「計画は具体性に欠ける」「(計画に必要な1日312トンの水を)確保できるのか」などの意見が相次ぎました。
都環境局によると、比留間運送の会長と社長が今月10日、都庁を訪れ、「必要な水を確保できない」として設置許可申請を取り下げました。
産廃施設反対運動に取り組んできた男性(70)は「申請取り下げは、住民運動が事業者と都・村を動かしたもので喜んでいます。しかし、事業者は檜原村からの撤退を表明したわけではなく、完全撤退と村の対応の検証に向けて引き続き声を上げていきたい」と話しています。
(「しんぶん赤旗」4月15日付より)