〝障害者も活躍できる社会を〟
東京都国立市議選(23日投票)をたたかう日本共産党の矢部あらた候補(25)は、政策を点字に訳したリーフレットで視覚障害者へ支持を広げようと取り組みました。視覚障害者は貴重な取り組みだと評価し、候補者の政策など選挙に不可欠な情報を行政の責任で保障するよう訴えます。(津久井佑希)
点字リーフを作成したのは、矢部候補の父親で全盲の矢部健三さん(54)です。知人にと1部作成したところ、矢部候補が「白杖(はくじょう)を持った人が演説を聞いている」と伝え、追加作成しました。
矢部候補の政策リーフのPDF(電子文書)版を自動点訳ソフトで点字にした後、実際に触れて確かめながら校正しました。
3~4時間かけて6部を作成。健三さんは「『障害のある人も価値を認められて活躍できる社会をつくりたい』という、あらたの思いを目の見えない人にも伝えたい」と語ります。
矢部候補は点字リーフを宣伝に持参。白杖を持った男性に手渡すと、「珍しいね。帰ってから読みます」と受け取りました。矢部候補は「さっそく配布できてうれしかった。多くの候補者が障害者への発信を工夫できれば」と語ります。
点字の選挙公報 地方選でも必要
国は、音声と点字による選挙公報を発行するよう都道府県に通知しており、国政選挙では全国で発行されています。「障害をもつ人の参政権保障連絡会」の調査(2020年)では、「届くのが遅い」「国政選挙以外にも拡大してほしい」などの要望がありました。
一方、地方選は告示から投票日までの期間が短く、多くの自治体が発行していません。障害者が候補者情報を入手することが困難な状況です。
全日本視覚障害者協議会の代表理事、山城完治さんは矢部候補の取り組みを「とても稀有(けう)な事例」と評価します。
他方、最も市民と近い議員を選ぶ地方選で投票の権利が守られていないことについて、「その矛盾を直視しないといけない」と制度を改善しない国の姿勢を批判。「候補者情報を点字に訳すことが当たり前の社会にするために、共産党と一緒に運動を進めたい」と強調しました。
(「しんぶん赤旗」4月21日付より)