参院本会議
日本共産党の山添拓議員が26日の参院本会議で行った軍需産業支援法案に関する質問の要旨は次の通りです。
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本法案は、軍需産業を「防衛力そのもの」と位置づけ、生産・技術基盤を強化する、大軍拡実施法の一つに他なりません。
政府の有識者会議の報告書は、軍需産業について「国内企業が成長産業としての防衛部門に積極的に投資する環境が必要」と唱え、防衛力整備計画は武器輸出が「防衛産業の成長性確保にも効果的」だとしています。政府は軍需産業を成長産業にしたいのですか。
2016年の参院本会議で当時の安倍首相は「武器輸出を国家戦略として推進することは考えていない」と答弁しましたが、国家安全保障戦略は「我が国にとって望ましい安全保障環境の創出」などと武器輸出を国家戦略としています。安倍氏の答弁を百八十度転換するのではないか。海外で兵器を売り歩くことが、なぜ「望ましい安全保障環境の創出」に結びつくのですか。
本法案は、自衛隊の任務遂行に不可欠な兵器を製造する企業が製造ラインの強化や事業譲渡を行う場合、政府が費用を直接負担します。自衛隊のあらゆる装備が「任務遂行に不可欠」となりかねないのではないですか。支援しても手段がない場合、国が製造ライン等を買い取る「国有化」まで盛り込まれています。戦前・戦中の工廠(国営軍需工場)の復活につながるとの批判をどう受け止めますか。
背任、天下り、談合など防衛省と軍需産業の不正は枚挙にいとまがありません。本法案は、特定の兵器製造企業を政府が直接支援し、場合によっては施設を国有化した上で特定の企業に管理・運営を委ねるものです。汚職や腐敗を繰り返す危険は、従来以上に高まるのではありませんか。
本法案は、防衛省と契約する企業やその下請け企業の従業員に秘密保全義務を課し、漏えいした場合は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金を科す規定を設けます。契約上の義務では足りず、刑事罰の対象となる法律上の義務とするのはなぜですか。また、防衛相が指定する秘密を取り扱う従業員の氏名、役職その他の防衛相が定める事項を防衛相に報告する義務を定めています。病歴や信用状態、思想や交友関係を経営者にチェックさせ報告を求めるなら、プライバシーの侵害ではありませんか。
安保3文書と本法案は、企業と従業員に軍需産業への一層の適応を求め、空前の大軍拡で莫大(ばくだい)な利益を保証するものです。一方、今年度予算では中小企業、農業予算が連続して削減されました。
暮らしの予算を削り軍事費に充てるのは言語道断です。政治が行うべきは戦争を起こさせないために平和外交を尽くすことです。軍事に軍事で対抗し、経済と産業をゆがめるなど許されません。
(「しんぶん赤旗」2023年5月27日付より)