参院外防委
日本共産党の山添拓議員は5月25日の参院外交防衛委員会で質問し、入管難民行政が政治的配慮で難民認定の是非をゆがめてきた問題を追及しました。
山添氏は法務省の法務研究所が職員向けに作成した研修教材(1983年版)を提示。同教材は「難民認定は裁量行為ではなく、要件に該当する事実を具備すると認めたときは認定をしなければならない」と明記する一方、「難民問題の政治的性格」を挙げ、同じ条件を具備する者の申請でも友好国の国民には「認定は拒否となる可能性が否定できない」などと解説しています。
山添氏は「今もこの考えを維持しているか」と質問。丸山秀治入管庁出入国管理部長は「誤解を招くおそれがあり訂正された」と述べたものの、その後、正しく研修し直したか否かは、「確たることは言えない」と明言を避けました。
山添氏は「人は認定によって難民になるのでなく、難民だから認定される。それが研修でねじ曲げられたのではないか」と指摘。さらに、過去にクルド人千人以上から申請がありながら認められたのは一人だけである事実を挙げて、「法相が政治判断を含めて裁量的に行う発想があったと疑わざるを得ない」と断罪しました。
山添氏は、野党提出の入管法改正案にも盛り込まれている難民認定を出入国管理から切り離し独立機関に担わせる仕組みを紹介。同研修教材が財政事情を理由に独立機関設置を否定していたことに触れ、「国際人権水準を確保できない言い訳はもう通用しない」と主張しました。
(「しんぶん赤旗」5月3日付より)