「お願い木を切らないで」子どもら紙の葉に願い込め 外苑再開発

 約3000本もの樹木を伐採し高層ビルなどを建設する神宮外苑の再開発で、子どもたちが自然保護への思いを込めた紙の木の葉を作り、関係する事業者や行政に届けるプロジェクトを立ち上げました。6月28日に保護者と教員が東京都と港・新宿両区を訪ね、子どもたちの思いがこもったパッケージを手渡しました。三井不動産など事業者は面会を断りました。

 「お願い、木を切らないで」。木の葉の形の画用紙に、木のイラストとともに英語のメッセージが書かれています。作ったのは、多国籍の子どもたちが通うインターナショナルスクール「ザ・モンテッソーリ・スクール・オブ・トウキョウ」(港区、小中一貫校)の児童・生徒、保護者、教師ら。再開発で多数の樹木が伐採されることを知った保護者や教員らが協議して、自然を大切にしてほしいというメッセージを関係者に届けるプロジェクトを立ち上げました。
 自主性を大切にする同校では、子どもたちが自由に参加できるよう、玄関フロアにメッセージ用の色とりどりの画用紙を配置し、子どもたちが自主的に学校や家庭で話し合ってもらうことにしました。その結果、約200人が、これらを使って紙製の葉を作り、心を込めてメッセージや絵を書き込みました。この紙の葉を鎖のようにつなぎ、自然保護への「連帯のチェーン」として仕上げました。
 関係する事業者や行政には、このチェーンと中庭で写した集合写真、要請文などをいっしょに届けることにしました。
 東京都環境局で教員の吉川尚子さんは、「子どもたちには、みんなの意見を聞いて、敵対ではなく協力できればということを教えてあげたい。なぜ樹木を切らないといけないのか、子どもたちに分かるように丁寧な説明がほしかった」と訴えました。
 都の職員は「(受け取ったパッケージは)大切に預かります。都知事にも伝えます。事業者にはしっかり説明をするよう働きかけていきたい」と述べました。
 2人の子どもが通う保護者のヴィンセント・ヴァルドマンさん(53)は、都への要請後「木を切られるのがショックで下の娘は泣いていました。なぜ切ってしまうのか私も理解できない」と顔をくもらせ、「子どもたちはこれから何十年も生きる。木がない未来は危ない」と語りました。
 吉川さんは「子どもたちは木の大切さを知っているし、こんなにたくさんの木を切る必要があるのか疑問を抱いている。まずは子どもたちの声を聞き、分かるように説明をしてほしい」と語りました。今後については、「子どもたちが希望するのであれば、引き続き共に声を上げていきたい」としています。

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