建設業離れが進む若い人たちに、ものづくりの魅力を知ってもらいたいと、建設業従事者らでつくる労働組合、東京土建は「けんせつのしごとフェスタ2023」を8月27日、けんせつプラザ(新宿区)で開きます。その狙いや魅力について、実行委員長の渡辺義久氏(東京土建副委員長・東京建築カレッジ理事長)に聞きました。
渡辺義久実行委員長に聞く
―フェスタは東京土建として初の試みと聞きました。
いま建設業のあらゆる職種で、担い手の不足と従事者の高齢化が大問題になっています。新規入職者が少ないだけでなく、高校卒業者の半分近く、大学は3割近くが3年以内に離職している実態もあります。子どもの頃は、誰もがものづくりが好きだったはずなのに、就職してみると「こんなはずじゃなかった」ということなんだと思います。建設業の現場は「きつい、きたない、危険」と揶揄されてきましたからね。
建設業に新規に入職する若者が少ないことに、建設業界全体が危機感をもっています。建設業に従事する私たちとしても何とかしたいと、ずっと考えてきました。今回、まずは若い人たちにものづくり、建設業の魅力を伝え興味をもってもらうことで、これまで接点がなかった若者も含め、建設業で働くことを将来設計の選択肢の一つにしてもらえる、そんなきっかけになればと開催を決めました。
建設事業者の新たな3Kを
―伝えたい建設の仕事の魅力とは何ですか
いま命の危険もある猛暑の中で現場は過酷ですが、東京土建では建設従事者の労働組合として、技能の取得とともに労働安全講習にも力を入れています。「給料が良く、休日が取れて、希望がある」そんな新しい3Kと言われる建設従事者の処遇改善を目指しながら、建設の仕事の魅力を発信していきたいと考えています。
私たち東京土建の仲間は大手とは違い地域での仕事が主で、住まいの維持や管理にかかわる日々の生活に欠かせない職種を担っています。震災や最近多発する豪雨災害の時には、真っ先に現場に駆けつけ、応急措置をしたり、復旧に尽力するのも地域の建設職人です。そこに私たちの誇りや仕事のやりがいもあります。
近年、大手の建設会社やハウスメーカーも地域への参入を進めていますが、アフターサービスをはじめ細かなニーズに手が届くのは、小回りのきく地域に根ざした中小零細の建設業者です。ここの担い手がいなくなれば、地域社会にとっても深刻な事態をもたらすことになるでしょう。
現場のやりがいをユーチューバーが
―企画の内容を教えてください。
私が理事長をやっている東京建築カレッジの卒業生でもある人気ユーチューバー“大工のエリザベス”さんによる講演が、売りです。若手の建築大工ですが、現場での技法やコツ、道具紹介などを動画で配信していて、若い人にとても人気があります。当日は、大工になる方法や仕事のやりがい、なぜ仕事を取れるのかなどについて語ってもらう予定です。
フェスタは建設現場で頑張る職人と中小建設業者がタイアップして開きます。様々な職種の建築職人や経営者が、それぞれの立ち場から建設業の仕事と夢やロマンを熱く語ってくれます。
スタッフが高校や大学にチラシやポスターを届けて、一生懸命にPRしています。参加してもらえれば、きっと建設の仕事やものづくりのおもしろさに触れていただけると思います。ぜひ一人でも多くの方に来ていただけることを願っています。