東京都委員会シンポジウムでの4氏の報告から
日本共産党東京都委員会が24日に開いた 「PFAS(有機フッ素化合物)シンポジウム」での、4氏の報告を紹介します。
汚染の全体調査が必要
多摩地域住民の自主血液検査にとりくんでいる原田浩二京都大学准教授は、「有機フッ素化合物とは」「何にどのように使われてきたのか」など、そもそもの問題から汚染の現状や課題まで説明しました。
米軍横田基地での泡消火剤など大量に使用されてきたPFASのいくつかは、発がん性などが指摘され、すでに製造は禁止されています。原田氏は「PFASは残留性が高く壊れにくいのが問題。便利だけど、環境に広がったらずっとたまる」と強調しました。
原田氏は、北海道から北九州まで全国の川の水を調査。22年に多摩川を調べると高い濃度でした。上流には横田基地があります。22年10月から23年3月には、多摩地域の650人の血中濃度測定に協力。国分寺市や国立市、立川市、府中市などでも高く、国分寺市では検査した人の9割が米国の指標値を超えていました。
「まだ現状が把握されていない所もある」と指摘し、汚染状況の全体を調査し、人体に摂取される際の経路を明らかにし、減らすための将来を見据えた対応を訴えました。
汚染者負担での除去を
党国会議員団のPFAS問題対策委員会の宮本徹衆院議員は、党国会議員がPFAS問題で2003年以降40回にわたって追及してきたことを紹介。そのうえで「何より命と健康を守るため、PFASをこれ以上摂取しない対策が必要」として、汚染の実態把握やアメリカ並みに厳しい規制値をつくるよう求めると強調しました。
さらに「すでに住民はPFASにさらされており、健康を守る対策が必要」と指摘。積極的に血中濃度を検査し、高い場合は医療機関でPFASによる影響が指摘される腎臓がんやコレステロール値をチェックし、早期発見・早期治療につなげることを訴え。国の責任で健康調査、血液検査を実現させたいと訴えました。
「汚染源を特定し、汚染者負担の原則で除去の責任を果たさせていく」問題では、米軍基地への立ち入り調査を挙げました。6月の党の聞き取りで、10年から12年にかけて横田基地内で3件のPFAS漏出があったことを防衛省が初めて認めましたが、漏出の事実を数年にわたって隠していました。米軍は基地外に漏出したことすら認めていません。「アメリカいいなりの政治」をこの問題でも変えるよう全力を尽くすと力を込めました。
血液検査全市民規模で
「多摩地域の有機フッ素化合物汚染を明らかにする会」の根木山幸夫さんは、20年1月以降、毎月学習会を開き「なぜ血液検査が必要なのか」を学び、22年10月から今年3月に、18会場で650人が採血に参加したことを報告。1月と6月に検査結果を発表すると、連日「私も検査を受けたい」という電話が続きました。7月には国分寺市民の会が発足し、9月議会に向けて市に血液検査を求める署名運動が起きていることにも言及しました。
国や都への喫緊の要望として「浄水場への浄化装置の設置」「全市民規模の血液検査の実施」「土壌汚染も調査し、汚染源を明らかにした抜本的な対策」「横田基地への立ち入り調査」を挙げました。
都民と連携都政動かす
尾崎あや子都議は、都民が飲んでいた水に発がん性が指摘されるPFASが含まれていたことに、不安や怒力が広がっていると指摘。一方で小池百合子知事は「健康の影響は現時点で明らかになっていない」「健康への影響評価は国がやるべきだ」との態度に終始しています。
尾崎氏は、都議団が都民と連携して都政を動かしているとして
▽都内全域の地下水調査を求めた党の質問に「今年度中に都内全域の調査を進める」と前向き答弁
▽今年5月から東京都に相談窓口が設置され、すでに1000件近い相談
-などを紹介しました。
最大の汚染源の一つと考えられる横田基地の泡消火剤からのPFAS漏出では、基地の消火訓練施設のすぐ近くに小学校や都立高校があることを示し、土壌調査を行うよう都に要求しました。
「いよいよ横田基地への立ち入り調査が必要」と力を込めた尾崎氏。PFAS問題を来年の都知事選挙の争点に押し上げ、健康と命を最優先にする都政実現へ都議団は全力でがんばると表明しました。
(「しんぶん赤旗」8月26日付より)
こちらのシンポジウムは日本共産党東京都委員会のYouTubeチャンネルでご覧になれます