過ち繰り返さず歴史の直視を
100年前の関東大震災時のデマにより虐殺された朝鮮人犠牲者らを追悼する式典が1日、東京都墨田区の横網町公園で行われました。「悲劇を繰り返さないために、歴史の直視を」。炎天の下、会場いっぱいの人が集まり、政府による真相究明と謝罪を求めました。同式典実行委員会の主催です。
1923年の震災後、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」などの流言が広まり、軍隊や民衆などによって朝鮮人や中国人、日本人社会主義者らが虐殺されました。朝鮮人の犠牲者は6000人超と言われます。
式典で、実行委員長で日朝協会東京都連合会の宮川泰彦会長は「過ちを繰り返さないため、語り継ぐことが私たちの責務です」とあいさつしました。
「関東大震災朝鮮人虐殺の国家責任を問う会」の田中正敬事務局長は、日本政府が事実を認めず、小池百合子都知事が同式典への追悼文を拒んでいることを批判。排外主義が広がりつつあることに危機感を示し、「過去を直視し、責任を問い続けたい」と訴えました。
在日本朝鮮人総連合会東京都本部の康景翔(カン・ギョンイク)国際統一局長は、日本政府の姿勢は犠牲者を「二度、三度とあやめているに等しい」「清算されなかった罪はくり返される」。「真の未来志向で平和をきり開き、負の連鎖を断ち切ろう」とのべました。
舞踊家の金順子(キム・スンジャ)さんが鎮魂の舞を披露しました。
作家の中沢けいさんは「次の100年、民族と民族とがお互いに尊重される時代となるように」と願いを語り、フォトジャーナリストの安田菜津紀さんは「加害の歴史に目を背ける権力者の姿勢は、奪われた命への冒とくであり、今を生きる命をも軽視している」と話しました。小説家の中島京子さんがメッセージを寄せました。
日本共産党の里吉ゆみ、原純子、原田あきらの各都議も参加し、里吉都議があいさつしました。
小池知事今年も追悼文を送らず
東京都の小池百合子知事は1日に都内で行われた関東大震災時に虐殺された朝鮮人犠牲者を追悼する式典に追悼文を送りませんでした。送付の取りやめは2017年から7年連続です。【関連記事】
(「しんぶん赤旗」2023年9月2日付より)