東京都千代田区にある太平洋戦争などを肯定し美化する靖国神社と、その敷地内にある戦意高揚を図る軍事博物館「遊就館」。同館には年間20万~30万人が訪れると言われています。日本共産党の練馬区議、のむら説事務所の「企画部まんな課」が10日、「靖国神社・遊就館ガイドツアー」を主催しました。靖国神社合祀取消訴訟弁護団の大山勇一弁護士がガイドを務め、25人が参加しました。(横田和治)
A級戦犯などを合む天皇への忠義を尽くし戦死した人々が246万合祀(ごうし)されている同神社。ツアー当日、参加者たちは日本最大級の鳥居と呼ばれる第一鳥居に集合するとまっすぐ伸びる参道を拝殿へ向けて歩きます。途中、大山弁護士が「慰霊の泉」や大村益次郎像、現在非公開になっている合祀されない諸外国の人々のためにつくられた「鎮霊社」についてガイドします。
「透けて見える」
拝殿を通り過ぎ遊就館玄関ホールに入ると戦闘機の「零戦」が鎮座し、巨大な砲塔なども。展示内容も欧米列強に対していかに軍事拡張が必要とされてきたかという方向性が示され続けます。明治維新を経て建てられた靖国神社の歴史を振り返りつつ時代は日清・日露戦争、太平洋戦争へと突入。展示の記述では満州事変の発端になった日本軍の暴走を省略し、南京大虐殺を南京事件と称し、市民の生活には触れません。いかに日本のたたかいが世界を勇気づけ、勇敢だったかという宣伝に終始します。
敗戦後の展示ではGHQが日本を民主化させたのではなく「弱体化」させたと記述。第2次大戦後の独立国を記した地図には韓国と北朝鮮だけ独立ではなく成立と記すなど「遊就館の考えが透けて見える」と大山弁護士は話します。
のむら区議は今回のツアーを「戦争をしないために、現場を訪れて正しく過去を振り返ろうと思った」と話します。
参加者も小学生から高齢者層までと幅広く、ツアーを終えるとさまざまな感想が。
「来たのは2回目だけど、ガイドがいると全然違う」「歴史をゆがめるのはやめてほしい」「侵略を反省すべき」などの意見が。親と共に参加した小学6年生の橋本愛さん(仮名)は「天皇の言うことを聞かなければいけない戦争が怖いと思った。これからちゃんとそういうことを伝えていかなければいけない。そういう人が必要だと思う」と話しました。
戦争前夜させぬ
大山弁護士は「戦争には経済、社会、市民目線など多面的な伝え方があると思いますが、遊就館にはその視点が欠如しています。疑問を感じた学生などが平和について考えられるような施設になってほしいです」。終わりに、衆院東京28区たかの直美党候補が「絶対に戦争前夜にしてはいけない」とあいさつしました。
のむら区議は活動地域で生活する若者とつながるため「企画部まんな課」を4月の統一地方選挙後に発足。「学習・アクティビティー・遊び」の3本柱をテーマに今後も企画を行っていくと話します。
(「しんぶん赤旗」9月15日付より)