樹木3000本を伐採するとして文化人や専門家らが上げている批判の声を無視して東京都が施行認可した神宮外苑再開発に対し、ユネスコ(国連教育科学文化機関)諮問機関のイコモス(国際記念物遺跡会議)の専門家が15日、東京都千代田区の日本記者クラブで会見し、再開発計画を撤回するよう改めて訴えました。
リモートで発言したイコモスのエリザベス・ブラベック国際学術委員会文化的景観委員長は、イコモスが7日発表した外苑再開発に対するヘリテージ・アラート(文化遺産危機警告)について「国際的な遺産が再開発で失われかねないことに、最大限の懸念を全世界に向け表明したものだ」と強調。外苑再開発の環境影響評価手続きで「科学的とは言えない手法を用いた結果が盛り込まれ、市民にほとんど情報提供もないまま、手続きが進められた」と指摘し、さまざまな利害関係者が参加できる対話の場を設けるよう訴えました。
ブラベック氏はまた「世界全体が気候変動で苦しむ中、遺産ともいわれる貴重な都市の森が損なわれかねない。植林すれば補えるというものではない」と語りました。
日本イコモス国内委員会の岡田保良委員長は「日本イコモスの要請を受け、国際イコモスは異例の速さで全世界にアラートを発信した」と強調しました。
神宮外苑再開発 「開発反対は一方的情報」
小池都知事が発言
多数の樹木を伐採し、貴重な遺産を破壊するとの批判が高まっている明治神宮外苑(東京都新宿・港区)の再開発で、小池百合子都知事は15日の記者会見で、再開発撤回を求める都民や専門家の声に耳を傾けない態度を示しました。
小池知事は、ユネスコの諮問機関のイコモスが再開発撤回を求めるなど再開発反対の声が高まっていることについて問われ、「かなり一方的な情報しか入っていないのではないか」と専門家の意見から目をそむけ、事業者に「説明を丹念にすべきだ」と責任を転嫁しました。
(「しんぶん赤旗」9月16日付より)