政府が10月から導入をねらう「インボイス(適格請求書)」制度を止めようと、日本共産党の小池晃参院議員・書記局長とさまざまな分野のクリエーターらが語り合う懇談企画が14日、ネット中継されました。品川区議会で、インボイス延期の請願に取り組んだ「品川フリーランスの会」が主催したもの。声優やイラストレーター、写真家、演劇人などが、小池氏と語り合いました。
「小池さんって、あの小池(晃)さんじゃないよね?」―対談を企画した、品川フリーランスの会のブンサダカさんは、懇談が実現したときの驚きを、こう表現します。ブンさん自身も、ロックバンド「BOOWY」のアルバムジャケットなど、さまざまな著名作品にかかわってきたCGクリエーターです。
品川区議会への請願をめぐって共産党区議団と懇談した際に、国会議員との懇談を持ちかけたことがきっかけになりました。品川区在住でもある、小池議員が懇談に応じてくれることになり、「だったら」とネット中継が決まりました。
当日は、会のメンバーで、イラストレーターのbomiさんが司会を担当。「ガンダム」シリーズなど数々の作品に出演する声優の岡本麻弥さん、共産党品川区議団の鈴木ひろ子、野館稔史両区議も出演しました。
本質は消費大増税
懇談は、インボイス制度の導入が直前に迫った現状から始まりました。
小池さんは「実施が近づくにつれて、インボイスは多くの人に影響するんだと知られてきた。頑張り時です」と強調。岡本さんは「企業の経理の人たちにも、『インボイスへの対応は無理だ』という声が広がっています。一部のエンタメ業界の問題と見られていたのが、サラリーマンにも関係するんだと、フェーズ(段階)が変わってきています」と応じました。
ブンさんは「インボイスで、新たに課税される業者は、経営が赤字でも、払わないといけなくなる。大変なことです」と指摘。小池さんは「そもそも、最も滞納が多い過酷な税金が消費税です。それをさらに、零細やフリーランスの人たちにまで、課税対象を広げようとしている。いま最も苦労している人たちへの大増税が、インボイス制度の本質です」と憤りました。
俳優の城戸啓佑さんは「税金を払うために、生活できなくなってしまう。弁護士の方が、インボイスは、憲法25条のいう『健康で文化的な最低限度の生活』を侵害すると指摘されていて、その通りだと思います」と批判しました。
説得で増えた賛同
品川区議会で会が取り組んだ、請願も話題になりました。
ブンさんは、各会派に請願への賛成を呼びかけてまわった際に、「共産党の区議さんは最初に、私たちのために使う時間を他の議員の説得に使ってくれ、私たちは絶対に裏切らないから、と言ってくれた。ありがたかった」と紹介しました。
鈴木区議は「本会議の日は、77席の傍聴席が満杯になった。若い人たちがたくさん、区議会傍聴に駆け付けてくれて、今までにない活気でした」と振り返りました。
bomiさんは、「不採択だったとはいえ、私たちの説得を聞いて、請願に賛成してくれる議員が増えた。もう一押し、時間があれば」、ブンさんは区議会に今度は陳情を出したことを紹介し、「まだまだ採択の余地がある」と意気込みました。
実施で大混乱確実
小池さんが「アニメの業界の人と、普段、なかなか接することがなかった。インボイス反対を通じて、初めて岡本さんとも知り合いましたね」と話すと、岡本さんは「私たちも、議員会館にこんなに来ることになるとは」と応じ、参加者が笑いに包まれました。
インボイスをどう止めればいいかという質問も出され、小池さんは「政府は、怖がっているんだと思います。オンライン署名が、38万人を超えて50万を目指そうとしている。多くの人が声をあげ、メディアの報道も増えている。悪らつな税制である消費税の増税を、みんなが押し付け合う制度なんだと分かってしまうことを怖がっている」と指摘。「署名や地方議会での陳情など、ありとあらゆる手段で、制度を止めましょう。たとえ、10月に実施されたとしても、大混乱が生まれるのは確実で、法案などで止めさせることは可能です」と呼びかけました。
インボイス制度に反対する「STOPインボイス」は、25日午後6時半から、官邸前集会を予定しています。
懇談後、岡本さんは「小池さんはとてもフランクで、日常会話のように話してくれて新鮮でした。こういう雰囲気の動画の方が、もっと多くの人に制度の問題が伝わるかもしれませんね」と語りました。
懇談の様子はYouTubeで視聴できます。