❚ 衆院予算委員会
日本共産党の宮本徹議員は30日の衆院予算委員会で、岸田文雄首相がいう「コストカット型の経済」をつくりだしてきた歴代自民党政権の責任を指摘し、この間の政策への反省と抜本的転換を迫りました。岸田首相は、一つひとつの具体的な指摘に答えず、「コストカット型の経済」を見直す姿勢がないことが浮き彫りになりました。(論戦ハイライト)
賃金のコストカットが行われ、日本は「先進国」で唯一、30年にわたり「賃金の上がらない国」になっています。
宮本氏は、「賃金のコストカット」が進められてきた根底には、歴代自民党政権が進めた労働法制の規制緩和による非正規雇用の拡大があると指摘。「コストカット型の経済」の転換のためには、非正規雇用の正社員化、有期雇用を合理的な理由がある場合に限定する「入り口規制」を設ける―など、政策の抜本的転換が必要だと迫りました。
岸田首相が「現行の無期転換ルールが適切に運用されるよう取り組む」と答えたのに対し、宮本氏は、「そもそも現行のルールの適用から逃れる運用をしている企業がある。『入り口規制』を行い有期契約の乱用の抑制をすべきだ」と重ねて求めました。
また宮本氏は、最低賃金をめぐる岸田首相の「2030年代半ばに1500円」との発言をあげ、「あまりに遅い」と追及。「最低賃金は公労使それぞれの立場からどうあるべきか議論することが重要だ」などと言う岸田首相に対し、「首相が主導力を発揮し行っていこうという姿勢が全く見えない」と批判し、最賃引き上げのための大規模な中小企業支援を行うべきだと求めました。
もう一つ、コストカットが行われてきたのが社会保障です。
宮本氏は、介護、障害福祉、医療、保育の人材不足が極めて深刻だと指摘。とりわけ、賃金が全産業平均より7万円も低い介護職等の賃上げや、事業者の収益増加のために毎年改定で基本報酬を引き上げるよう求めました。
岸田首相は「必要な処遇改善の水準を検討していきたい」として、全産業平均並みの賃上げが必要との認識は示さずじまい。毎年報酬を引き上げる改定の提案についても「まずはデフレ脱却に向けた経済対策を用意することに専念する」として問題を先送りにしました。
また宮本氏は、岸田首相が、少子化対策の財源として医療・介護などの歳出カットを名指ししていることは重大な問題だと指摘。年金が増えない中、介護保険利用料の2割負担の対象拡大が狙われていると指摘し、「必要な介護サービスを我慢せざるを得ない人を生み、配偶者の困窮を生む。やめるべきだ」と述べ、「介護保険は利用料を引き上げるのではなく、国庫負担を引き上げるべきだ」と強調しました。
(しんぶん赤旗2023年10月31日付より)