インボイス制度(適格請求書等保存方式)が10月から強行され、1カ月余が経過した13日、インボイス制度を考えるフリーランスの会(STOP!インボイス)による緊急アンケート調査結果の報告と、インボイス問題検討・超党派議員連盟の第8回会合が、衆院議員会館(千代田区)で開かれました。
同会は、制度の開始が仕事や生活にどのような影響を及ぼしているか、10月20日~31日にオンラインで調査を実施。わずか11日の募集期間で、免税・課税事業者、経営者、会社員など約3000人が回答。そのうち約7割が「事業の見通しが悪い」「廃業・退職・異動も検討」など、悪影響を受けている実態が明らかになりました。
同会は結果を重く受け止め、インボイス制度の当面の運用停止・中止・廃止を求める要請書を、当日出席した財務省、国税庁、公正取引委員会、中小企業庁に、改めて手渡しました。
要請書は、景気・物価高の中での「インボイス増税」だとして▼免税業者に対する一方的な値下げ、取引排除の横行▼インボイス未登録事業者への差別・バッシング▼複雑を極め、生産性のない過重な事務負担で現場は疲弊▼自由な商取引の阻害▼税理士・税務署の誤った指導と理解不足、相談窓口不足―の是正と回答を求めています。
同会発起人の小泉なつみ氏が、調査で寄せられた声を報告。「免税事業者は使うなという社内での通達により、静かに取引が消えていく〝サイレント取引排除〟の声も多い。これは公正取引委員会も取り締まることはできない」と指摘。「以前から識者が警鐘を鳴らし続けてきた、想定内の問題が起きている。政府や行政の対応が実害として働き手に降りかかってしまった」と嘆きました。
現場は大混乱
議連は調査で寄せられた声を受け、「取引先が登録は強制ではないと言った上で、実際は登録しなければ契約をしないことが明確な事例」だとして、公取委に独禁法の定義を追及。公取委の担当者は「それだけでは判断しがたい」と答えるにとどまり、参加者から「免税事業者はこの一言に振り回されている」と憤りの声が上がりました。
質疑応答では、参加者から「制度に対する認知度が追い付いていないし、相談窓口などの体制も整っていない」「赤字でも課税される理由はどこにあるのか」「市民全員が被害者になっている」など、質問や意見が飛び交いました。
オブザーバーとして登壇した税理士・元静岡大学教授の湖東京至氏は、「現場は大混乱している。日本のインボイス制度は、いんちきな帳簿方式+インボイス方式。最低な仕組みになる」と断言。超党派議連の副会長を務める日本共産党の田村貴昭衆院議員、参加した同党の宮本徹衆院議員も、インボイス制度のいびつさを指摘し、廃止を訴えました。