東京都教育委員会が立川高校の夜間定時制の生徒募集を2025年度に停止する方針を打ち出したことを受けて、「立川高校定時制の廃校に反対する会」「立川高等学校芙蓉会」(定時制同窓会)などは11月24日、JR立川駅前(立川市)で、方針撤回を求める宣伝を21人が参加して行いました。
都教委は10月、同定時制の25年度の生徒募集を停止する方針を確認。来年10月に正式に決定する予定です。生徒募集が停止されれば、在校生が卒業した時点で廃止となります。存続を求める請願署名は1万2000人分が寄せられています。
ビラを配りながら「立川高校の夜間定時制を存続させましょう」と呼びかけた日野市在住の大槻正茂さん(73)は、息子が同校定時制を卒業し「救われた」と、しみじみ語りました。「息子は学ぶ喜びを知り、成長することができた。この学校があって本当に良かった。都は子どもたちの学ぶ権利を奪わないでほしい」と訴えます。
同校定時制の特徴について公式ホームページでは「働きながら通っている生徒、他校を中途退学し本校で高校卒業を目指す生徒、様々な理由により高校に進学しなかった生徒、外国籍の生徒、不登校経験のある生徒など、色々な事情や目的意識をもった幅広い年齢層の生徒を受け入れ、じっくり時間をかけて、生徒一人一人に目を向けた教育を行っている」(統括校長のあいさつ)と紹介しています。
始業は働きながらでも通学が可能な夕方5時20分。4学年あり、授業は4時限制です。放課後の部活動も盛んなことで知られます。90年近い歴史をもち、約6600人が卒業しています。
今年度の新入学生は昨年より13人多い37人。現在の2年生は39人で、昨年の入学者が24人なので、15人が転入などで増えているとみられます。生徒総数は161人で、都立定時制の中で最も多くの生徒が通っています。
ところが都教委は廃止の理由について、「応募倍率の低下」をあげ、昼夜間定時制高校の規模拡大や不登校の子どもに特化した「チャレンジスクール」の新設などで対応するとしています。
これに対して大槻さんは、「都教委は希望者が少ないというが、立川は夜間定時制の中で一番大きい。不登校に特化したチャレンジスクールでは定時制の代わりにはならない。理由には納得できない」と憤ります。
定時制を卒業した中島康浩さん(77)は「私にとって立川高校の定時制は、何にも代えがたいふるさとのような所。パブリックコメントでも圧倒的に反対が多かったのに、これを無視する都教委のやり方は非民主的です」と話します。
反対する会などでは、募集停止予告の撤回と小山台、立川両都立高校定時制の存続を求める新しい署名に、年明けから取り組む予定です。
都教委の廃止方針
都教委は「都立高校改革推進計画」に基づき2016年2月、応募倍率の低下や生徒数の減少などを理由に、小山台、雪谷、江北、立川4校の夜間定時制の廃止方針を決定。存続を求める都民の声や卒業生の署名運動が広がるなか、都は雪谷、江北の2校を廃止しましたが、立川と小山台(品川区)は生徒募集を継続していました。