❚ 党都議団論戦 世論と結び
東京都が、開会中の都議会定例会で、学校給食費の負担軽減に踏み出す方針を表明しました。長年にわたる保護者や教育関係者ら都民の運動と、日本共産党都議団の論戦が重い扉を開けさせたものです。(東京都・川井亮)
都民の生活が困窮し、朝食を食べられずに登校する子どもたちが出ています。特に食材費をはじめ物価高騰が長引く中、全ての国民の教育を受ける権利を保障し、義務教育を無償とする憲法に基づき、給食無償化で子どもたちの食を保障することが求められています。
共産党都議団は都議会の質疑や、条例案、毎年の予算組み替え案の提出などで、学校給食の無償化を繰り返し求めてきました。
❚ 都議選躍進力に
2017年都議選での躍進を力に、直後の9月都議会では、給食費無償化に向けて助成を行う条例案を提出。文教委員会で趣旨説明を行った米倉春奈都議は「給食は子どもの食のセーフティーネット。都として給食費の保護者負担を軽くすることは、子育て支援や教育の充実を大きく進めることにつながる」と強調しました。
党都議団はその後も毎年、給食無償化を要求。20年6月には都内全区市町村の給食費値上げ状況を調査し、「食材費を保護者負担とする限り、負担を抑えれば質を保てない。質を上げれば負担が増す問題が生じる。東京の子どもたち全員が安心して質の高い給食を食べられるようにするには、都の役割が重要」と指摘しました。
都は共産党都議団の質問や区市町村議員団、都民団体の申し入れに「学校給食法では給食費は保護者負担」「国の責任と負担によるべきだ」と国に責任を押し付ける答弁を繰り返してきました。
住民運動が高まる中、給食無償化が大きく広がるきっかけになったのが、昨年秋に葛飾区が無償化に踏み出したことです。23年4月の統一地方選では共産党が給食無償化を訴え、選挙後には23区全てが給食無償化の実施または表明に踏み出しました。
しかし、区部に比べ財政力が弱い多摩地域や島しょでは、無償化に踏み出したのは、39市町村中8市町村にとどまり、多摩格差となっています。
都市長会は7月と11月、「自治体によって大きな教育格差を感じることがないよう、給食費の全額補助を市町村の財政負担なく実施するよう国に働きかけ、それまでの間は都で財政支援策を講じて」と都に要請しました。
❚ 無償化求める声
都立学校の保護者からは「兄弟の通う区立小学校は無償なのに、なぜ都立特別支援学校は無償でないのか」と無償化を求める声が高まっていきました。
ところが、9月の都議会代表質問で共産党の白石たみお都議が「都内全ての地域で給食費無償化を実現するため、財政支援に踏み出すべきだ」と求めたのに対し、小池百合子知事は「国の責任と負担によるべきだ」と繰り返しただけ。
11月に都教育庁がまとめた24年度都予算編成の局要求でも、給食無償化は盛り込みませんでした。
自民党や都民ファーストの会、公明党は、共産党提出の給食費補助条例案や、無償化を求める都民の請願・陳情に反対してきました。
11月29日の文教委員会では、新日本婦人の会が7600人以上の署名で提出していた給食無償化を求める請願を、自民・都ファ・公明が不採択にしました。(共産党・立憲民主党・ミライ会議は採択を主張)
共産党都議団は12月都議会に向け、都立学校と区市町村立学校の給食費を全額都負担で無償化する条例案を準備。4会派共同で提出しました。
こうした中、小池知事は12月5日、これまでの態度を一転させ「給食費の負担軽減に大胆に踏み出す」と表明。12日の都議会本会議で共産党の原田あきら都議の代表質問に、給食無償化は「国の責任と財源で実現すべきだ」としつつ、都立学校の給食費負担軽減と区市町村への支援は「来年度予算編成で検討する」と答えました。
都の区市町村への補助割合について「経費の半額」とする報道もあります。
共産党の、とや英津子都議は15日の文教委員会で、都が半額補助している小中学生の医療費助成では、23区が所得制限も自己負担もなくしているのに対し、市町村は所得制限も自己負担も残っている所が少なくないと指摘。「半額補助では多摩格差が生じかねない。都が全額負担することが必要だ」と述べました。
無償化の実現は都民の世論と運動にかかっています。
(しんぶん赤旗2023年12月17日付より)